-
2014年12月12日
所得拡大促進税制
「所得拡大促進税制」は、平成25年度の税制改正で創設された税制です。今年の税制改正でその適用期限の延長と適用要件の緩和が行われ、使い勝手の良い制度となりました。
この税制は、基準事業年度(平成25年4月1日以後最初に開始する事業年度の直前の事業年度をいいます。)と比較して2%~5%以上、給与等支給額を増加させた場合、一定の要件のもとその支給増加額の10%を税額控除(法人税額の10%(資本金1億円以下等の中小法人等は20%)を限度)できる優遇税制です。
26年度税制改正では、給与等支給額の増加割合や平均給与等支給額の要件の対象となる給与等について緩和され、また新設法人においても適用要件が見直されたことにより利用がしやすくなっています。
制度概要をまとめたニュースレターを発行いたしましたので、ぜひご活用ください。
-
2014年11月13日
2015(平成27)年1月からの相続税改正
平成25年度の税制改正により、バブル後の地価大幅下落等への対応や格差固定化防止等の観点から相続税の課税ベースの拡大と税率構造の見直しなどが行われ、来年1月1日以後の相続遺贈よりその適用が始まります。
影響を受ける人が少なくない、と言われているのが、課税ベースの拡大策として行われる基礎控除額の縮小です。これにより課税される裾野が広がり、全国で4.2%程度である相続税課税割合が、1.5倍の
6%台程度に上昇すると見込まれております。特に都心部に不動産をお持ちの方については、不動産の評価額や金融資産の状況によっては、財産価額が基礎控除額を超え、申告が必要となるケースが想定されます。
相続税の対策は、多くの対策を検討し、出来るだけ早く始めることで大きな効果が得られます。今回の相続税改正内容をまとめたニュースレターを発行いたしましたので、みなさまの相続への影響の確認にお役立ていただければ幸いです。
-
2014年10月10日
続・設備投資のチャンス!~中小企業投資促進税制~
設備投資関係の税制優遇措置として「中小企業投資促進税制」をご案内致します。
この制度自体は従来からあるもので、中小企業者などが新品の機械及び装置などを取得し又は製作して国内にある製造業、建設業などの指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却30%又は税額控除7%(資本金3,000万円以下の法人等)が選択適用できる制度です。
この制度の対象となる資産のうち、生産性向上設備投資促進税制の要件を満たす 資産を取得等した場合には、従来の中小企業投資促進税制に上乗せして、特別償却又は税額控除がとれる措置をご案内致します。
制度概要をまとめたニュースレターを発行いたしましたので、ぜひご活用ください。
-
2014年9月18日
設備投資のチャンス!~生産性向上設備投資促進税制~
2013(平成25) 年12 月4 日に成立した「産業競争力強化法」に基づき、「生産性の向上につながる設備投資を促進するための税制措置(生産性向上設備投資促進税制)」が創設され、2014(平成26) 年1 月20 日に施行されました。
当該税制は、一定の生産性向上が見込まれる設備投資について特別償却(即時償却)又は税額控除を認めるもので、その「生産性向上設備」を以下の2つに分類しています。
A.先端設備
B.生産ラインやオペレーションの改善に資する設備A.B.の類型に応じて対象設備や要件が異なるため、本減税措置を活用される場合には、要件等を充分にご確認する必要があります。特に、B類型に関しては、設備投資を行う前に事前確認の手続きが必要です。早めの対応、事前の確実な手続きが重要になります。
制度概要をまとめたニュースレターを発行いたしましたので、ぜひご活用ください。
-
2014年8月20日
来年1月1日より適用される相続贈与の主要改正点
1. 相続税の基礎控除額の縮小
相続税の基礎控除が、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」へ縮小されます。これにより、基礎控除は、現行の6割の金額となります。
2. 小規模宅地等の特例の見直し
特定居住用宅地等の対象面積が、240㎡から330㎡へ拡充されます。また、特定事業用宅地等と特定居住用宅地等がある場合(貸付事業用宅地等の特例を受ける場合は除きます。)、それぞれの限度面積まで適用が可能となり、最大で730㎡まで減額が取れることになります。
3. 相続税の税率構造の見直し
相続税の税率構造が変わります。現行の6段階から8段階へ区分が変更され、最高税率が50%から55%へ引き上げられます。
4. 未成年者控除、障害者控除の控除額の引き上げ
未成年者控除及び障害者控除の金額が上がります。
※相続開始時の年齢は端数を切り捨てます。
5. 贈与税の税率構造の見直し
贈与税の税率構造が変わります。現行の6段階から8段階へ区分が変更され、全体的に税率は引き下げられますが、最高税率は50%から55%へ引き上げられます。
※税率① 20歳以上の者が直系尊属(父母・祖父母)から贈与を受けた場合
※税率② 上記以外の場合6. 相続時精算課税制度の見直し
相続時精算課税の要件が見直されます。受贈者の範囲に、20歳以上である孫が追加され、贈与者の年齢要件が、65歳以上から60歳以上に引き下がります。
※推定相続人とは 贈与時点において相続があった場合に、法定相続人となる者
7. 事業承継税制
非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、要件が緩和されます。
8. 相続税の取得費加算の特例の見直し
直接的に相続税贈与税に影響はありませんが、相続財産である土地等を譲渡した場合の相続税の取得費加算の特例について、譲渡所得の計算上、取得費に加算する金額を現行の「その者が相続した全ての土地等に対応する相続税相当額」から、「その譲渡した土地等に対応する相続税相当額」に変更されます。
-
2014年7月22日
経営不振の子会社・関連会社の支援
経営環境の悪化により、子会社・関連会社が経営不振に陥ってしまう場合があります。
この場合、親会社は子会社・関連会社を解散させる・経営権を売却するなどの整理を行う、又は再建させるという経営判断を行います。具体的には、子会社・関連会社を整理する際には、債務引受け・債権放棄その他の損失負担を行うことになり、再建させる際には、無償貸付け・低利の貸付け・債権放棄を行うことになります。
このような子会社・関連会社の支援を行うことは、税務の取扱いにおいて、「寄附金と認定されるか否か」がポイントとなります。基本となる取扱い
経営不振の子会社・関連会社を整理する場合と再建する場合の税務の取扱いをまとめると以下のようになります。
実際に子会社・関連会社の支援を実施する場合
子会社・関連会社に対する支援が寄附金に該当するか否かについては、詳細に判定する必要があります。
下記の判定チャートは、整理又は再建をする場合の検討事項をまとめたものになります。
すべての項目に該当する場合、損失負担(支援)として合理的であると判断され、寄附金とはなりません。なお、100%グループ法人間で子会社支援が行なわれ、寄附金と認定された場合には、グループ法人税制が適用されることから、支援した法人では損金の額に算入されず、支援を受けた法人では受贈益は益金不算入となります。
また、国税庁では、子会社支援等が寄附金に該当するかどうかの事前相談に応じています。事後の税務トラブルを回避するため、具体的に支援方法が確定している場合には、事前相談を利用することも可能です。
-
2014年6月20日
役員に関する経費
役員として対外的な活動を行っていると、様々な費用が発生します。
役員に関して支出した経費のうち、業務上生ずるものについては、「会社の経費」として取り扱われます。一方、業務に関連しないものは「役員給与」とされます。役員給与に該当すると、「定期同額給与」、「事前確定届出給与」のいずれにも該当しない為、損金不算入となってしまいます。以下役員に関して生じる様々な経費の取り扱いを確認していきましょう。
渡切交際費(法基通9-2-9 ~9-2-11、所基通28-4)
会社の業務のために支給され、領収書等により使用した実額が明らかなものについては交際費となり、役員給与の課税問題は発生しません。では、渡し切りで清算を求めないものの取扱いはどのようになるのでしょうか。
ポイント
- 業務のために支給したとわかるよう、領収書等をしっかり保存する
- 領収書等の保存が難しい場合は毎月定額支給を行い、通常の給与とあわせて役員給与として不相当に高額でなければ「定期同額給与」となり損金算入できます(ただし、給与課税されます)
同業者団体等の会費等(法基通8-1-11、9-7-15の3)
法人の所属する協会、連盟その他の同業者団体等に対して支出した会費等の税務上の取り扱いは次の通りです。
同業者団体の会費
その他の会費
これに対し、入会金の取り扱いは、以下の通りです。
ポイント
- 同業者団体の会費は、消費税の仕入税額控除が行えない場合あるので注意が必要です
- その他の会費はその用途に応じて繰延資産、福利厚生費、交際費、寄附金などとして処理します
社交団体の入会金等(法基通9-7-14、9-7-15)
会社で社交団体に入会した場合の税務上の取り扱いは次の通りです。
(注)法人会員制度がないため、やむを得ず個人会員として入会した場合、その入会が法人業務遂行上必要であるときは、法人会員として入会した場合に含まれます。
ポイント
- 会社経費扱いにする場合、法人会員で入会することが前提となります
- 入会金についても交際費となります(資産計上はしません)
ゴルフクラブ等の入会金等(法基通9-7-11、9-7-13)
会社でゴルフ会員権等を取得した場合の税務上の取り扱いは次の通りです。
(注1)無形名式の法人会員制度がないため、やむを得ず個人会員として入会した場合、その入会が法人業務遂行上必要であるときは法人会員として
入会した場合に含まれます。(注2)ゴルフプレー代金ついては、法人の業務遂行上必要なものなら交際費となりますが、業務の関連しない私的な行為なら給与として取り扱われます。
ポイント
- 会社経費扱いにする場合、法人会員で入会することが前提となります
- 法人会員で入会してもプレー代は交際費とします
- 取得後の名義書換料は資産計上ではなく交際費となります。
健康診断費用の取り扱い(所基通36-29)
健康診断については、一般的には最低年1回は実施する必要があり、その費用は会社が負担することになります。つまり、基本的には福利厚生費となるため、給与課税の対象から除外されています。
ただし、最近では脳ドックやPET検査など専門的で高額な検査もあるため、次の要件を満たすものに限って、給与課税を行わないこととしています。要件
- その人間ドックの費用が著しく多額でないこと
- 役員や特定の地位にある者だけを対象とせず、全従業員または一定の年齢以上の希望者はすべて検診を受けることができること
- 人間ドックを受けた全従業員の費用を負担すること
ポイント
- 役員にのみ専門的で高額なPET検査を受診させ会社がこの費用を負担させるようなことがあると給与扱い
- 福利厚生となる前提は、全従業員または希望者が健康診断を受けられること
海外渡航費の取り扱い(法基通9-7-6 ~9-7-10)
法人の海外渡航費については、その海外渡航が業務上必要なもので、かつ、通常必要と認められる部分の金額は、会社の経費となり、業務上必要とは認められないものは、旅行をした役員に対する給与として取り扱われます。
海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであるかどうかは、その旅行の「目的」、「旅行先」、「旅行経路」、「旅行期間」等を総合的に勘案して判定しましょう。
次に掲げる旅行は、原則として法人の業務の遂行上必要な海外渡航に該当しな
いものとなり、役員に対する給与として取り扱われます。- 観光渡航の許可を得て行う旅行
- 旅行あっせんを行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行
- 同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で主として観光目的と認められるもの
ポイント
- 業務上必要な海外渡航であったことを証明するため、報告書等を必ず保存します
- 海外視察等の機会に併せて観光に行った場合は、日数を基準にして、旅費と給与に按分します
- 役員の同伴者に係る旅費を法人が負担したとき、国際会議で配偶者の同伴が必要な場合など一定の場合以外は、その役員に対する給与となります
-
2014年5月20日
国外財産調書制度
国外財産調書制度とは
平成24年度の税制改正により、5,000万円を超える国外財産を有するものに、保有財産の申告を求める「国外財産調書制度」が創設され、2013(平成25)年12月31日時点の保有分からその適用が開始されました。
この制度は、居住者で、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する方を対象に、当該財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した調書を翌年3月15日までに税務署長に提出することを義務付けるというものです。この制度は適正な提出を促すための優遇措置がある一方、「義務」であるため、偽りの記載をして提出を行った場合や正当な理由なく提出しなかった場合などには罰則(2015(平成27)年1月1日以後に提出すべきものより)が用意されていますので注意が必要です。国税庁HP:「国外財産調書制度に関するお知らせ」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/kokugai_zaisan/index.htm国外財産調書制度の概要
提出義務者は
国外財産の報告義務者は、5,000万円を超える国外財産を有する非永住者以外の居住者です。居住者とは、所得税法で規定する「居住者」及び「非永住者」をいいます。国外財産の価額
国外財産の価額は、その年の12月31日における「時価」又は時価に準ずるものとして「見積価額」によることとされています。また、「邦貨換算」は、同日における「外国為替の売買相場」によることとされています。国外財産調書の記載事項
国外財産調書には、提出者の氏名、住所(又は居所)、国外財産の種類、数量、価額、所在等を記載することとされています。提出期限と提出先
その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する方は、その年の翌年3月15日までに提出しなければならないこととされました。
また、国外財産調書は納税者の様態に応じ、次の所轄税務署長に提出することとされています。- その年分の所得税の納税義務がある者…そのものの所得税の納税地
- 1.以外の者…そのものの住所地(国内に住所がない時は居所地)
したがって、所得税の納税義務者がない場合、そのものの住所地を所轄する税務署長あてに提出することとなります。
所得税法上の「財産及び債務の明細書」との関係
所得税法では、確定申告書を提出しなければならない方で年間の所得金額の合計額が2,000万円を超える方については、その年の12月31日現在の財産や債務について、「財産及び債務の明細書」を提出しなければならないことになっています。
国外財産調書を提出する場合には、この明細書の備考欄に、同調書に記載した旨を書くことで、国外財産に関する事項の記載をする必要はありません。国外財産調書による優遇措置と罰則
この調書の適正な提出を促進するために次のような措置がとられています。- 国外財産調書を提出期限内に提出した場合には、国外財産調書に記載がある国外財産に関して所得税、相続税の申告漏れが生じた時であっても、過少申告加算税等が5%軽減されます。
- 国外財産調書の提出が提出期限内にない場合または記載すべき国外財産の記載がない場合に、その国外財産に関して所得税の申告漏れが生じたときは、過少申告加算税等が5%加重されます。
- 国外財産調書に偽りの記載をして提出をした場合又は国外財産調書を正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。ただし、期限内に提出しなかった場合には、情状によりその刑を免除することができるとされています。(2015(平成27)年1月1日以後に提出すべき国外財産調書に係る違反行為より適用されます。)
-
2014年2月20日
所得拡大促進税制と決算賞与
要件が緩和される所得拡大促進税制
青色申告法人が国内雇用者に対して支給した給与等について、一定の要件を満たす場合には、雇用者給与等支給増加額の10%(適用事業年度の法人税額の10%(中小は20%)が限度)の税額控除が出来るという、平成25年度税制改正で新設された「所得拡大促進税制」。
この税制について、平成26年度税制改正により、以下のように基準年度の給与等支給額に対する増加割合など要件が緩和され、適用が平成30年3月31日まで2年間延長されることが検討されています。この要件緩和は、平成26年4月1日以後に終了する適用年度について適用されます。その際、平成25年4月1日以後に開始した経過事業年度で改正前の本税制の適用を受けていない場合は、下記の例のように新制度が遡及適用されたとして、平成26年4月1日以後終了事業年度に上乗せすることができ、控除上限額についても上乗せすることができます。
損金算入の未払決算賞与も対象に
所得拡大促進税制の雇用者給与等支給額とは、役員やその関係者、使用人兼務役員に対して支給する給与や退職手当てを除いた国内雇用者に対して支給する給与や賞与などで、その適用事業年度において損金算入される金額のことをいいます。
つまり、決算時に未払で計上する賞与についても、法人税上の要件を満たし、損金に算入されるものは、その損金に算入される事業年度の雇用者給与等支給額に含まれることになります。ここで、未払賞与の損金算入の3つの要件について確認してみましょう。損金算入可能な未払賞与の要件
- その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての従業員に通知していること
- 1.において通知した金額を通知日の属する事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払っていること
- その支給額を通知日の属する事業年度において損金経理していること
1. の要件については支給額を事業年度終了の日までに全ての従業員への通知が確実に行われている事が求められています。また、支給時までに退職者がいたため支給しなかった場合には、通知した全ての使用人に対して1ヶ月以内に支払うという要件を満たさないことになり、未払賞与の総額について損金算入が認められないことになります。 未払賞与について損金算入が認められるというメリットは大きいですが、要件の不備によっては損金算入が否認され予定外の課税を受ける恐れもあるため、要件と手続きについては慎重に検討する必要があります。
制度概要
-
2014年2月10日
帳簿書類の保存について
日々増え続ける請求書・納品書等の経理関係書類、これらはどのくらいの期間保存しなくてはいけないか、経理担当者は頭を悩ませているのではないでしょうか。経理帳簿書類については、法律により保存期間が定められています。会社法は10年、法人税法は7年です。経理帳簿書類は会計上、税務上のみならず経営管理上も重要な書類であるため、保存書類や保存期限をきちんと把握しておくことが必要となります。
また、会社にとって一番気になる税務調査ですが、調査対象期間は直前期より遡って3年間であることが多いです。少なくとも3年間分の帳簿書類はすぐに取り出せるように管理しておきたいものです。1.保存期間
定款や登記関係書類は会社法において保存期間の定めはありません。また税務申告書、税務届出書などについて、税法上の保存期間の定めはありません。これらの書類は、会社の歴史を示す資料ですので、決算書とともに永久に保存すべきでしょう。
2.保存方法
税務上、帳簿書類の保存方法は、紙による保存が原則となります。したがって、電子計算機で作成した帳簿書類についても、原則として電子計算機からアウトプットした紙により保存する必要があります。
但し、下記の要件を満たせば、電子データで保存することもできます。帳簿書類の保存に関するQ&A
Q.帳簿書類等を保存する場合、具体的にはどのように管理すればよいでしょうか?
書類を保存する際には、永久保存のものと、保存期間経過後処分してもよいものに分けるようにします。処分してもよいものについては、保存期限ごとにダンボールなどで管理保管し、会計期間や保存期限などを記載し、期限が来たら処分できるように整理しておくことが重要です。また、処分に際しても、機密文書が含まれていますので、慎重に行う必要があります。
Q.帳簿書類を期限まで保存しなかった場合にはどうなりますか?
必要な帳簿書類を保存していなかった場合、過去の取引やデータを確認できないなど経営上の不利益はもちろんのこと、税務上も様々な不利益を受ける可能性があります。
税務調査において取引の根拠となる書類が出せないと、不利な課税を受けたり、思わぬペナルティを課されることがあります。
例えば、消費税は、仕入税額控除を受けるために、帳簿及び請求書等を7年間保存することが要件となっています。そのため、必要書類が保存されていないと仕入税額控除を受けられなくなる、ということも考えられます。また、帳簿書類を保存していないと、青色申告の承認が取消しとなる可能性があります。青色申告が取り消されると、欠損金の繰越控除が適用できなくなる、各種税額控除や特別償却が受けられない、等々大きな不利益を受けることになります。Q.電子データによる保存はどのようなメリットがありますか?
電子データで保存することにより、帳票の整理や検索等の手作業の軽減、帳票保管スペースの減少、用紙代の節約といった、ペーパーレス化に伴う保存負担を軽減することができます。
また、電子化によるセキュリティーの強化が図られることにより、紛失や持ち出し等による情報漏えいリスクが軽減されたり、バックアップ機能によりデータを複数個所に保存できるため災害等のリスクを軽減できる、というメリットもあります。
ただし、電子データで保存する場合には、データの改ざんができないようなソフトの利用や、事前の申請が必要となります。Q.システムの導入を検討していますが、期の途中から電子データでの保存に変更することはできますか?
総勘定元帳や仕訳帳などの帳簿については、会計期間開始の日からデータが積み上げられていくものであるため、期の途中から電子データでの保存に変更することはできません。貸借対照表や損益計算書、請求書等の控えなどについては、帳簿のようにデータが積み上げられていくものではないため、期の途中からでも電子データによる保存に変更することが可能です。
税務会計