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2025年3月14日
2025年10月1日施行 柔軟な働き方を実現するための5つの措置とは?
会社は3歳から小学校就学前の子どもを養育する従業員が柔軟な働き方を実現できるよう、次の5つの中から2つ以上の措置を選択して講じる必要があります。
今号では、柔軟な働き方を実現するための5つの措置についてご紹介します。- フレックスタイム制又は始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
労働基準法に定めるフレックスタイム制、1日の所定労働時間を変更することなく始業・終業時刻を繰り上げまたは繰り下げる制度をいいます。繰り上げ・繰り下げる時間の範囲に制限はありませんが、従業員の状況(保育所等への送迎時間等)を考慮して決定することが必要です。 - テレワーク等の措置
措置を講じるにあたっては1月につき10日以上利用可能な制度とする必要があり、かつ時間単位でも利用できる内容とする必要があります。 - 短時間勤務制度の導入
3歳未満の子どもを養育する従業員への短時間勤務制度と同様に、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含む制度の整備が必要となります。 - 養育両立支援休暇の付与
1年につき10日以上の日数を取得できるものであり、1日単位だけでなく、時間単位でも利用できるようにすることが義務付けられています。なお、勤務しなかった日や時間について有給とするか無給とするかは会社が決めることができるため、本制度を選択する場合は、あらかじめ取扱方法を検討の上、育児介護休業規程や給与規程に記載するようにしましょう。 - 保育施設の設置運営等
保育施設の運営等とは、会社で保育施設を設置運営するだけでなく、運営を外部に委託して会社が費用(ベビーシッターや家事支援サービスの等の費用)を負担する場合を含みます。
なお、会社が柔軟な働き方を実現するための措置を選択する際は、事前に労働者の過半数を代表する者(労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合)から意見を聴取する機会を設ける必要があります(育児介護休業法第23条の3第4項)。また、当然のことながら社内規程の改定も必要となります。人事担当者は、2025年10月までに「柔軟な働き方を実現するための措置」を講じられるよう、ゆとりをもって準備をするようにしましょう。
- フレックスタイム制又は始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
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2025年2月13日
<解説動画あり>2025年4月施行 介護離職防止のための両立支援制度の措置について
高齢化が一層進む中、仕事と介護の両立支援を図ることが重要になっています。今号では2025年4月施行される改正育児介護休業法の中から、介護休業制度の改正内容をご紹介します。
- 介護離職防止のための雇用環境整備の義務化
介護休業や介護両立支援制度の申出が円滑に行われるようにするため、事業主は制度に関する研修の実施や相談窓口の設置などの措置を講じなければなりません。 - 介護に直面した労働者に対する個別の周知・意向確認の義務化
事業主は介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、制度の内容や申出先などの周知、介護休業の取得や介護両立支援制度の利用の意向確認を個別に行わなければなりません。 - 介護に直面する前の早い段階での情報提供の義務化
労働者が介護に直面する前の早い段階で制度の理解を深めるため、事業主は以下の期間内に制度内容や申出先などの情報提供を行わなければなりません。
<情報提供期間>
(1)「労働者が40歳に達する日の属する年度の1年間」もしくは
(2)「労働者が40歳に達する日の翌日から1年間」のいずれか - 介護のためのテレワーク導入の努力義務化
対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが努力義務となります。 - 介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
現行では「継続雇用期間6ヶ月未満の労働者」を労使協定により除外できますが、この要件が撤廃され、除外できる労働者の要件は「週の所定労働日数が2日以下」のみとなります。
2025年4月1日の施行に合わせて、人事担当者は規定の改定や従業員への周知を行えるように準備をしておきましょう。
<厚生労働省>
育児・介護休業法改正ポイントのご案内 - 介護離職防止のための雇用環境整備の義務化
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2025年1月14日
<解説動画あり>2025年4月 65歳までの雇用確保措置の完全義務化
現在、高年齢者雇用安定法により、定年年齢を65歳未満としている企業に対して、以下のいずれかの雇用確保措置を講じることが義務付けられています。
- 定年制の廃止
- 65歳までの定年引き上げ
- 希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入
これらのうち「継続雇用制度」については、労使協定の締結により雇用を継続する労働者を限定することができる経過措置が設けられていました。この経過措置は2025年3月31日をもって終了するため、2025年4月1日より、すべての企業において1~3のいずれかの措置を講ずる必要があります。なお、定年制度の変更が生じる企業におかれましては、就業規則の見直しと所轄監督署への届出が必要になりますためご留意ください。
少子高齢化が進む今日の日本社会において、高年齢労働者が知識や経験を活かして継続的に活躍できる職場環境を整えることは、労働者と企業の双方にとって重要視されています。
短時間勤務制度や週休3日制などの多様な働き方の中から労働者自身の体力や希望にあった働き方を選択できる制度を整えることは、高年齢労働者の継続的な活躍を促すにあたり大切な事項であると考えられます。
今般の雇用確保措置の完全義務化を機に、高年齢労働者の働きやすい制度導入や施設整備についても考えてみてはいかがでしょうか。
人事労務