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2022年12月14日
職業安定法が改正され、労働者の募集を行う際のルールが変わります
*解説動画はこちら2022年12月号 職業安定法の改正
2022年10月1日より、改正職業安定法が施行されました。求職活動におけるインターネットの利用が拡大する中、求職者が安心してサービスを利用できるよう、主にウェブ上の求人サービス等を対象にした労働者の募集を行う際のルールを明確にすることが改正の目的です。今回は改正のポイントおよび企業に求められる対応について解説いたします。
- 求人情報等の的確な表示の義務化
求人等に関する下記の情報について、虚偽または誤解を生じさせる表示を禁止し、的確な表示が義務付けられました。
(1)求人情報 (2)求職者情報 (3)求人企業に関する情報 (4)自社に関する情報 (5)事業の実績に関する情報
【虚偽表示の例】
・実際に募集をおこなう企業と別の企業の名前で求人を掲載する。
・実際の賃金よりも高額な賃金の求人を掲載する。
【誤解をさせる表示の例】
・営業職中心の業務を「事務職」と表示する。
・固定残業代を採用する場合に、基礎となる労働時間数等を明示せず、基本給に含めて表示する。
また、求人情報については正確かつ最新の内容に保つため「変更があれば速やかに変更を行う」「いつの時点の情報なのかを明らかにする」などの措置を講じることが求められます。 - 個人情報の取扱いに関するルールの整備
求職者の個人情報を収集する際には、個人情報を収集・使用・保管する目的をウェブサイトに掲載するなどの方法で明らかにしなくてはなりません。
【目的明示の例】
・「当社の募集ポストに関するメールマガジン配信のために使用します」と表示する。
・「面接の日程に関する連絡に使用します」と表示する。
本改正は自社のホームページやウェブメディア等で求人情報の公開を行っている企業にとって対応が必要となりますが、的確な情報を公開することによってマッチング機能が向上することは労働者を必要としている企業にとって望ましいことといえます。現在掲載している求人情報がある場合は、内容や更新体制について見直しを行い、法改正に対応できているか確認を行いましょう。
(厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000984586.pdf - 求人情報等の的確な表示の義務化
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2022年11月14日
中小企業に対する月60時間超の残業割増賃金率引き上げへの対応
*解説動画はこちら2022年11月号 2023年4月 割増賃金率の引き上げと実務対応②
大企業ではすでに1か月60時間を超える法定時間外労働に対する割増賃金率が50%以上とされていますが、令和5年4月からは中小企業にもその適用が拡大されます。そこで今回は適用拡大に向け、必要となる対応を解説いたします。
- 労働時間の適正な把握
1か月60時間超の時間外手当を適正に支払うためには、日々の時間外労働の時間数を管理するだけでなく、法定休日と法定外休日を区分けし、カウントの対象となる時間を正しく抽出する必要があります。勤怠状況を正しく記録できる勤怠システムの導入は、社員の労働時間を適正に把握することに有効です。 - 残業抑制・業務効率化の検討
残業を削減する取り組みも進める必要があります。業務フローの見直しによる業務効率化やノンコア業務のアウトソーシング化に加えて、時間外労働の警告基準(時間)を設定し、警告値を超えた時点で従業員本人とその上司に報告、指導を行う方法も有効です。こちらも勤怠システムを活用することで効率的に行うことが可能となります。 - 就業規則の変更
割増賃金率の変更は就業規則への明記が必須です。事前に改訂を行い、所轄労働基準監督署に届け出る必要があります。 - 代替休暇制度導入の検討
1か月60時間を超える法定時間外労働を行った社員の健康を確保するため、引上げ分の割増賃金を支払う代わりに有給の代替休暇を付与することが可能です。代替休暇制度の導入にあたっては労働者の過半数で組織する労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者との間で労使協定を締結することが必要です。
時間外労働が多い中小企業の会社にとって、割増賃金率の引き上げは人件費の大幅な増加につながります。今の内から時間外労働の削減に向けた取組みを進めましょう。
<厚生労働省>
リーフレット「2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」
https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf - 労働時間の適正な把握
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2022年10月15日
短時間労働者への社会保険適用拡大
*解説動画はこちら2022年10月号 2022年10月 社会保険の適用拡大
2022年10月より社会保険の適用範囲が拡大され、社会保険の被保険者数が100人超の事業所(特定適用事業所)で働く短時間労働者は、社会保険の被保険者となります。また、2024年10月にはさらに適用範囲が拡大され、被保険者数50人超の事業所が対象となります。
ここでは、短時間労働者の要件を確認するとともに、今後、特定適用事業所に該当・非該当となった場合の手続きについて確認します。- 短時間労働者の要件
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 雇用期間が2ヵ月超見込まれること
- 賃金の月額が8.8万円以上であること
- 学生でないこと
- 施行日以降に100人を超えた場合
10月1日以降、被保険者の総数が直近11か月のうち5か月100人を超えた場合、日本年金機構より「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」が送付されます。その後、特定適用事業所に該当する場合には「特定適用事業所該当届」の提出とあわせて、資格取得する短時間労働者がいる場合には「被保険者資格取得届」を提出します。特定適用事業所に該当したにもかかわらず、上記届出を行わなかった場合は、日本年金機雇用より「特定適用事業所該当通知書」が送付されます。 - 特定適用事業所に該当しなくなった場合
使用される被保険者数が常時100名を下回った場合であっても、引き続き特定適用事業所として取り扱われます。特定適用事業所ではないことを申し出る場合には、使用される被保険者の4分の3以上の同意を得たことを確認できる書類を添えて、「特定適用事業所不該当届」を届け出る必要があります。また、短時間労働者については「被保険者資格喪失届」の提出が必要です。
施行日以降は、気付かないうちに特定適用事業所に該当していたというケースも想定されます。適切な対応ができるよう、今一度、被保険者数や短時間労働者に該当する人の有無等を確認しましょう。
<厚生労働省>
社会保険適用拡大特設サイト
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/index.html
<日本年金機構>
短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和4年10月施行分)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.files/QA0410.pdf - 短時間労働者の要件
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2022年9月14日
令和4年 年末調整の改正ポイント
今回は、本年の年末調整に関する税制改正ポイントについて解説いたします。変更点は以下の2点です。
- 生命保険料等の控除証明書に加えて、本年から社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除に係る控除証明書も、電子データでの提出が可能となります。また、電子データの提出方法に「電子証明書に記録された情報の内容と、その内容が記録された二次元コードの付与された出力書面」が加わりました。
これにより、国税庁が提供する「QRコード付証明書等作成システム」を利用して、電子データからQRコード付控除証明書を作成し、書面で提出することが認められることになります。 - 非居住者の扶養親族に係る扶養控除について、適用要件が変更になります。30歳以上70歳未満の扶養親族で、以下の要件にいずれも当てはまらない方は扶養親族に該当いたしません。
(イ)留学により国内に住所及び居所を有しなくなった方
(ロ)障害者
(ハ)扶養控除の適用を受けようとする居住者からその年において生活費又は
教育費に充てるための支払いを38万以上受けている方上記のうち、(イ)または(ハ)に該当するものとして扶養控除を受けようとする場合は、その事実を証明する書類の提出が必要になります。
(例.留学ビザ等相当書類、38万円以上の送金関係書類)1.は本年の年末調整から、2.は令和5年分の扶養控除申告書受領時から適用されます。また、2.に伴い、令和5年分の給与所得者の扶養控除申告書のフォーム変更が予定されています。引き続き今後の動向を確認しましょう。
<国税庁>
源泉所得税の改正のあらまし 令和4年4月
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0022004-066.pdf
変更を予定している年末調整関係書類
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index/0022007-058.htm - 生命保険料等の控除証明書に加えて、本年から社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除に係る控除証明書も、電子データでの提出が可能となります。また、電子データの提出方法に「電子証明書に記録された情報の内容と、その内容が記録された二次元コードの付与された出力書面」が加わりました。
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2022年8月15日
子育てパパ支援助成金について
*解説動画はこちら2022年8月号 出生時育児休業制度(産後パパ育休)
2022年の育児・介護休業法の改正に伴い、両立支援等助成金(出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金))の制度内容が変更されました。この助成金には、第1種と上乗せにあたる第2種がありますが、今回は第1種について解説いたします。
- 制度の概要
男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境整備や業務体制整備を行い、男性労働者の育児休業制度の利用があった事業主に対して助成を行います。 - 主な要件
- 雇用環境整備の措置を複数実施すること
- 男性労働者が、子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得すること
- 育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定を策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること
- 対象
中小企業のみ - 助成額
20万円(1事業主1回限り)
2.(1)は具体的に、次のうちいずれか2つ以上を実施することが求められます。
- 雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施
- 育児休業に関する相談体制の整備
- 雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集及び当該事例の提供
- 雇用する労働者に対する育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進に関する方針の周知
また、育児休業取得者の業務を代替する労働者を新規雇用(派遣を含む)した場合、助成額が加算されます。
代替要員加算:20万円(代替要員が3人以上の場合は45万円)出生時育児休業(産後パパ育休)の新設に伴い、男性の育児休業取得者の増加が見込まれます。助成金などを活用しつつ、職場環境の整備を進めましょう。
<厚生労働省>
「両立支援等助成金(出生時両立支援コース、育児休業等支援コース)が令和4年度から変わります」
https://www.mhlw.go.jp/content/000927768.pdf
「両立支援等助成金(出生時両立支援コース)Q&A (2022年度版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000966235.pdf - 制度の概要
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2022年7月14日
男女間賃金格差に係る情報開示の義務化
2022年7月8日、女性活躍推進法に基づく省令改正により、男女間の賃金差の開示が企業に義務付けられました。従来、女性活躍推進法では、常時雇用する労働者が301人以上の事業主に「管理職に占める女性労働者の割合」等の厚生労働省令で定める項目のうち、2つ以上を公表することを義務付けていました。
今回の改正により、従来の2項目に加えて「男女の賃金の差異」という項目を開示することが必須となりました。ここでは、今後企業に求められる対応について解説いたします。- 対象企業
常時労働者301人以上の企業に対し、男女の賃金の差異の情報開示が義務付けられます。
なお、情報開示は事業主ごと(企業単位)に求められます。 - 賃金の差異の求め方
男女の賃金の差異は、絶対額ではなく、男性労働者の賃金の平均に対する女性労働者の賃金の平均を割合で開示します。全労働者・正規雇用・非正規雇用の3つの区分について、それぞれ男女別の年間平均賃金を算出し、女性の平均年間賃金を男性の平均年間賃金で割った数字を、男女の賃金の差異として示します。 - 開示の時期
改正省令施行日以後に終了する事業年度の実績を速やかに公表します。「速やかに」とは、事業年度が終了した後、おおむね3か月以内を指します。
(例1)事業年度が4月~翌年3月の場合
2022年4月~2023年3月の実績をおおむね2023年6月末までに公表
(例2)事業年度が8月~翌年7月の場合
2021年8月~2022年7月の実績をおおむね2022年10月末までに公表
なお、情報公開にあたっては、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」や自社のホームページ等をご活用ください。適切な対応ができるよう、今から準備を進めましょう。
<厚生労働省>
令和4年7月8日 雇均発0708第2号「男女の賃金の差異の算出及び公表の方法について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000962287.pdf「女性の活躍推進企業データベース」
https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/ - 対象企業
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2022年6月14日
育児休業中の社会保険料免除の要件について
*解説動画はこちら2022年6月号 2022年10月改正対応・育児休業中の社会保険料免除手続
今回は2022年10月から見直される育児休業中の社会保険料免除の要件と届出事項の変更点に焦点を当てて解説いたします。
- 要件の変更内容について
毎月の社会保険料と賞与にかかる社会保険料で異なる基準が設けられます。- 標準報酬月額の保険料免除にかかる免除基準
現行の要件に加えて、同一月内に14日以上の育児休業等を取得した場合にも保険料の免除が適用されます。
(改正後要件)
以下のいずれかを満たすこと
・月末時点で育児休業等を取得していること
・同一月内で14日以上の育児休業等を取得していること - 賞与にかかる社会保険料
現行の要件が抜本的に変更され、改正後要件のみ認められます。
(改正後要件)
・連続して1か月超の育児休業等を取得していること
- 標準報酬月額の保険料免除にかかる免除基準
- 届出時の留意点について
免除の要件変更に伴い、届出の際に記載する内容が追加されます。- 届出の提出
保険料免除の基準に該当しない育児休業等について届出は不要です。同一月内に複数回の育児休業等を取得する場合は、その日数を合算し、保険料免除の要件に該当することとなった育児休業等の取得時にまとめて届出をすることで保険料が免除となります。 - 追加記載事項
(イ)育児休業等取得日数
育児休業等の開始年月日と終了年月日の翌日が同一月内である場合、取得日数の記載が必要です。後述の(ロ)就労予定日数は取得日数に含められませんが、休日等の労務に服さない日及び一時的・臨時的に就労した日は含めることができます。
(ロ)就労予定日数
出生時育児休業(産後パパ育休)期間中に労働者と事業主の間で事前に調整して就業を行う場合、その日数を記載します。
(ハ)育休等取得内訳
同一月内に育児休業等を複数回取得した場合、取得したそれぞれの育児休業等の期間を記載します。
- 届出の提出
短期間の育児休業等であっても、複数回取得することで同一月内14日以上の要件を満たす場合も出てくるため、取得日数の管理が重要となります。適切なタイミングで届出が行えるよう準備を進めましょう。
<厚生労働省ホームページ>
「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律による健康保険法等の改正内容の一部に関するQ&Aの送付について」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220413S0010.pdf「事業主の皆さまへ 育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されます。」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/ikuji-menjo/20140327-05.files/ikujikyuugyou.menjyo.youken.kaisei.pdf - 要件の変更内容について
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2022年5月13日
企業型DC受給開始時期の拡大及び加入可能年齢の拡大について
*解説動画はこちら2022年5月号 年金制度に関する改正(2022年4月、5月施行)
2020年5月に成立しました年金制度改正法により、企業型確定拠出年金(以下「企業型DC」という)の改正が順次行われてきました。今回は、2022年4月以降に施行された主な改正点を2点取り上げます。
- 企業型DC受給開始時期の拡大(2022年4月1日施行)
従来、企業型DCの受給開始時期は60歳から70歳の間に限られていましたが、今回の改正により、上限年齢が75歳に引き上げられました。つまり、60歳の加入者資格喪失後から75歳に達するまでの間で、受給開始時期を選択することが可能になりました。 - 企業型DC加入可能年齢の拡大(2022年5月1日施行)
従来、企業型DCは、60歳未満の厚生年金被保険者を加入者としており、規約に定めるなど一定の要件の下で、65歳に達するまで加入者とすることができました。
改正後は、それらの要件が廃止され、原則70歳未満の厚生年金被保険者であれば、加入者とすることが可能になりました。なお、規約により、従来通り加入できる年齢の上限を定めることが可能ですが、この年齢上限を60歳より低い年齢とすることは認められていません。また、企業型DCの老齢給付金をすでに裁定請求した者は、再び企業型DCに加入することはできません。したがって、60歳以上の従業員を企業型DCに加入させようとする際には、すでに裁定請求していないか確認する必要があります。
この改正により、企業型DCをより柔軟に利用できるようになることで、老後の資産形成のため、より多くの企業や個人が制度を活用することが期待されます。
<厚生労働省ホームページ>
「2020年の制度改正」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/2020kaisei.html - 企業型DC受給開始時期の拡大(2022年4月1日施行)
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2022年4月15日
くるみん認定・プラチナくるみん認定の認定基準改正について
*解説動画はこちら2022年4月号 くるみん認定・プラチナくるみん認定の認定基準改正について
2022年4月1日より、「くるみん認定」、「プラチナくるみん」の認定基準が改正されました。さらに、新たな認定制度もスタートしましたのでご紹介をいたします。
1.くるみん認定について
次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことで「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けることができます。これを「くるみん認定」といいます。また、「くるみん認定」を受けた企業のうち、より高い水準の取り組みを行い、一定の要件を満たした場合には「プラチナくるみん」認定を受けることができます。認定を受けた企業は、広告や名刺などの厚生労働省令で定めるものに「くるみんマーク」、「プラチナくるみんマーク」を付すことができます。2.認定基準の改正について
2022年4月より、次の通り認定基準が改正されました。
(1)くるみん認定基準
1) 男性の育児休業取得率
7%以上から10%以上へ引き上げ
2) 男性の育児休業等および育児目的休暇取得率
15%以上から20%以上へ引き上げ育児目的休暇取得率とは、男性労働者のうち、育児休業等を取得した者および企業独自の育児を目的とした休暇制度を利用した者の割合が合わせて何%であるか、という指標です。
(2)プラチナくるみん認定基準
1)男性の育児休業取得率
13%以上から30%以上へ引き上げ
2)男性の育児休業等・育児目的休暇取得率
30%以上から50%以上へ引き上げ
3)出産した女性労働者及び出産予定だったが退職した女性労働者のうち、
子の1歳時点在職者割合
55%以上から70%以上へ引き上げなお、認定基準の改正にあたり、くるみんマーク、プラチナくるみんマークのデザインも変更となりました。
3.新たな認定制度について
(1)トライくるみん制度の創設
トライくるみんの認定基準は4月改正前の基準のくるみん認定と同様で、エントリー用といえます。ただし、トライくるみん認定を受けていれば、くるみん認定を受けていなくても、直接、プラチナくるみん認定を申請することができます。(2)不妊治療と仕事との両立に関する認定制度の創設
上記3種類のくるみん認定に付加して、不妊治療と仕事の両立に取り組む企業を認定する「プラス」制度が創設となります。プラス認定の取得により、くるみんプラスマークとして、不妊治療と仕事との両立もサポートしていることも明示できるようになりました。今回の改正は主に男性の育児休業取得率の認定基準の引き上げが行われており、同じく4月以降、順次施行となる育児・介護休業法の改正の中に男性の育児休業取得の促進があることからも、今後ますます男性の育児休業取得率について注目が集まると考えられます。
くるみん認定を受けることによって「子育てサポート企業」としてPRすることができるため、優秀な人材の採用や定着が期待できます。今回の改正を機にくるみん認定を目指してみてはいかがでしょうか。
(厚生労働省「次世代法に基づく一般事業主行動計画について」)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11367.html -
2022年3月15日
在職中の年金受給の在り方の見直しについて
*解説動画はこちら2022年3月号 社会保険の適用拡大について on Vimeo
2020年5月に成立した年金制度改正法により、2022年4月から「在職中の年金受給の在り方の見直し」が適用されます。
この法改正は、少子高齢化が進み、多くの人が長く多様な形で働く社会へと変化する中で、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図ることを目的としています。「在職中の年金受給の在り方の見直し」の改正ポイントは以下の2点です。
- 在職老齢年金制度の見直し
在職老齢年金制度とは、60歳以上で在職中の老齢厚生年金受給者を対象として、賃金と年金の合計額が一定以上になる場合には年金の支給額を調整する仕組みです。つまり、賃金が高い労働者ほど、年金が減額されることになっています。
この、年金の支給調整が行われる基準額が、今回の改正点です。現行では、60歳~64歳は月額28万円、65歳以上は月額47万円ですが、改正後は、60歳~64歳についても、65歳以上と同じく月額47万円になります。 - 在職定時改定の導入
在職定時改定とは、65歳以上で在職中の老齢厚生年金受給者を対象として、毎年1回、年金額の見直しを行うために新設された制度です。現行では、在職中に厚生年金保険料を支払っても、年金額の見直しは行われず、退職時まで年金額は更新されない仕組みでした。
改正後は、在職中でも毎年9月1日時点での実績に応じて見直しを行うこととなり、毎月負担している保険料もこれまでより早期に年金額へ反映されることになります。
以上のように、年金額の支給調整の条件緩和や在職時の年金額改定の仕組みが導入されることで、年金受給年齢以後の勤労意欲の増進に繋がることが期待されます。<日本年金機構ホームページ>
「在職老齢年金制度の見直し」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2022/0228.files/zairou.pdf
「在職定時改定の導入」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2022/0228.files/teijikaitei.pdf - 在職老齢年金制度の見直し
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2022年2月14日
平成29年4月以来5年ぶりの雇用保険料率の改定
*解説動画はこちら2022年2月号 雇用保険から考えるシニア人材の活用 on Vimeo
労働者にとっての失業時や休職時の予防、即ちセーフティネットの役割を果たしているのが雇用保険です。新型コロナウィルスの影響が引き続くなか、従来以上に重要な役割を果たしています。
その雇用保険の保険料率が、平成29年以来、5年ぶりに改定される内容を盛り込んだ法律案要綱が発表されました。2022年2月1日の閣議で決定され、改定は確実な状況です。詳細は、次の通りです。
- 現行
- 一般事業 9/1,000(労働者負担:3/1,000 事業主負担:6/1,000)
- 農林水産 11/1,000(労働者負担:4/1,000 事業主負担:7/1,000)
- 建設事業 12/1,000(労働者負担:4/1,000 事業主負担:8/1,000)
- 令和4年4月~
- 一般事業 9.5/1,000(労働者負担:3/1,000 事業主負担:6.5/1,000)
- 農林水産 11.5/1,000(労働者負担:4/1,000 事業主負担:7.5/1,000)
- 建設事業 12.5/1,000(労働者負担:4/1,000 事業主負担:8.5/1,000)
- 令和4年10月~
- 一般事業 13.5/1,000(労働者負担:5/1,000 事業主負担: 8.5/1,000)
- 農林水産 15.5/1,000(労働者負担:6/1,000 事業主負担: 9.5/1,000)
- 建設事業 16.5/1,000(労働者負担:6/1,000 事業主負担:10.5/1,000)
労働者負担の増加も予定されています。ただし、コロナ禍における労働者の負担に配慮し、同年度中に二段階の引き上げという特例的な措置が取られるかたちとなりました。
労働保険料の計算など、従来より誤りを引き起こしやすくなっていますので、ご注意ください。 - 現行
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2022年1月13日
令和4年4月 中小企業の職場におけるパワーハラスメント防止措置の義務化
*解説動画はこちら2022年1月号 中小企業におけるパワハラ防止措置の義務化 on Vimeo
令和2年6月1日に施行された「改正労働施策総合推進法」は、職場におけるパワーハラスメント(以下パワハラ)の防止措置を、大企業において義務化しています。中小企業は努力義務に留まっていましたが、令和4年4月1日より義務化されます。
「職場におけるパワーハラスメント」とは、職場において次の3つの要素全てを満たす行為をいいます。
(1)優越的な関係を背景とした言動
(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
(3)労働者の就業環境が害されるものパワハラに該当するのかの判断は、個別事案ごとに総合的に考慮することになりますが、会社の責務として明確化された具体的な措置の内容は以下のとおりです。
- 事業主の方針等の明確化および周知・啓蒙
- 職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること
- 行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等文書に規定し、労働者に周知・啓発すること
- 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
- 相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること
- 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
- 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
- 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適切に行うこと
- 事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと
- 再発防止に向けた措置を講ずること(事実確認ができなかった場合も含む)
- 併せて講ずべき措置
- 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること
- 相談したこと等を理由として、解雇その他不利益な取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
パワハラ防止に向けた取り組みは、労使がハラスメントの定義を正しく理解することからはじまります。会社は、セクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策とともに社内体制や就業規則、対応マニュアルの整備に取り組み、万が一の際に機能する仕組みづくりを検討していく必要があります。
<厚生労働省:パワーハラスメント対策等>
特設ページ:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
事業主向けリーフレット:
https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/content/contents/hourei_power_harassment_r0404ibr.pdf - 事業主の方針等の明確化および周知・啓蒙
人事労務