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2020年12月15日
短時間労働者の社会保険の適用拡大について(2022年10月以降)
2020年5月29日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、その中で、短時間労働者の社会保険の適用が段階的 に拡大されることが決まりました。
適用拡大される短時間労働者の要件と導入スケジュールは、次の通りです。
- 短時間労働者の要件
- 週の所定労働時間が20時間以上あること
- 雇用期間が2ヵ月超見込まれること
- 賃金の月額が8.8万円以上であること
- 学生でないこと
- 導入スケジュール
2022年10月~ 従業員数100人超の企業へ適用
2024年10月~ 従業員数 50人超の企業へ適用
2016年10月より、従業員数が500人超の企業においては、短時間労働者の適用拡大がすでに始まっていますが、現行の「雇用期間が1年以上見込まれること」については、2022年10月以降、「雇用期間が2ヵ月 超見込まれること」に変更されています。
社会保険の適用拡大により、これまで対象外とされていた方にとっては、厚生年金保険の加入により将来受け取る年金が増えるなど、給付面において手厚くなるというメリットがあります。
一方で、ご家族の扶養の範囲内で働いており、保険料を負担する必要がなかった方については、扶養を外れ、ご自身の給与から保険料が引かれるため、手取りが減ってしまうといったデメリットが考えられます。
また、中小企業にとっては、経済的負担の増加が懸念されます。従業員数50人超の企業へ適用拡大した場合、新たに適用を受ける人は国全体で65万人、事業主の社会保険料の負担は、1,590億円増との見通しです。
▼年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636611.pdf - 短時間労働者の要件
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2020年11月11日
障害者の法定雇用率引き上げについて
従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的 障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)
その「法定雇用率」が令和3年3月1日より引き上がりますのでご案内します。1.令和3年3月1日以降の法定雇用率
(1)民間企業 現行2.2% ⇒ 引き上げ後2.3%
(2)都道府県等の教育委員会 2.4% ⇒ 2.5%
(3)国、地方公共団体等 2.5% ⇒ 2.6%2.令和3年3月1日以降の留意点
上記の法定雇用率引き上げに伴い、障害者雇用義務の対象となる事業主の範囲が「従業員数45.5人以上」から「従業員数43.5人」以上に拡大されます。
つまり、43.5人以上の事業主から、1名以上の障害者雇用が義務付けられることになります。
なお、従業員数ですが事業主(会社単位)で計算します。従業員数は、1年以上継続して雇用される者(見込みを含みます。)をいいます。そのうち、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である短時間労働者については、0.5人とみなされます。なお、20時間未満の者は含まれません。
また、障害者ですが、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者を対象とします(短時間労働者は原則0.5人カウント)。3.対象事業主の報告義務等
(1)毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告
(2)障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」を選任するよう努める。上記(1)ですが、毎年報告時期になりますと、対象事業主に報告用紙(障害者雇用状況報告)が送付されますので、6月1日現在の状況を7月15日までに報告しなければなりません。
新たに適用対象となる企業においては雇用義務および報告義務があることにご注意ください。<厚生労働省リーフレット>
https://jsite.mhlw.go.jp/hiroshima-roudoukyoku/content/contents/000730219.pdf -
2020年9月11日
雇用保険における「被保険者期間」の算入方法の改正について
雇用保険の失業等給付を受けるためには、原則として離職した日以前の2年間に、被保険者期間」が通算して12ヵ月以上あることが必要です。
この「被保険者期間」の算入方法が、離職日が令和2年8月1日以降の方について、以下のように改正されました。
<改正前>
離職日から1ヵ月ごとに区切った期間において、賃金支払の基礎となる日数が11日以上ある月を1ヵ月として計算
<改正後>
離職日から1ヵ月ごとに区切った期間において、賃金支払の基礎となる日数が11日以上ある月、または、賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を1ヵ月として計算
これにより、改正後は、賃金支払の基礎となる日数が11日に満たない月でも、「賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月」に該当すれば「被保険者期間」に算入されます。
失業等給付は、離職された方が、失業中の生活を心配することなく新しい仕事を探し、1日も早く再就職していただくための重要なものであり、被保険者期間の算定の誤りにより離職者に対し不利益等が生じますとトラブルにつながりかねません。
「被保険者期間」の算入には漏れがないよう注意が必要です。(参考)大阪労働局資料
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-hellowork/content/contents/000675318.pdf -
2020年8月14日
厚生年金保険の標準報酬月額の上限改定について
社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)は、給与額に基づき決定される標準報酬月額に応じた額を従業員と事業主が双方で負担しています。現在、その標準報酬月額は、健康保険と介護保険が1等級~50等級、厚生 年金保険が1等級~31等級となっています。
1.改定内容
令和2年9月1日より、厚生年金保険の現在の標準報酬月額の最高等級(第31級・620千円) の上に、新たな等級(650千円)が追加され、上限が引き上げられます。具体的には以下のとおりとなります。
<改定前>
月額等級(旧)31等級
標準報酬月額620千円(報酬月額605,000円以上)<改定後>
月額等級(新)31等級
標準報酬月額620千円(報酬月額605,000円以上、635,000円未満)
月額等級 32等級
標準報酬月額650千円(報酬月額635,000円以上)2.改定通知書の送付時期
改定後の新等級に該当する被保険者の方がいる対象の事業主に対して、令和2年9月下旬以降に日本年金機構より「標準報酬改定通知書」が送付されます。
3.届出の要否
今回の標準報酬月額の改定に際し、事業主からの届出は不要です。
新等級に該当する場合、令和2年9月分より厚生年金保険料が変更となります。算定基礎届による通知書とは別に上記改定通知書が届く可能性がありますので、確認を忘れないようにしましょう。
(参考)日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2020/202007/072002.html -
2020年7月15日
自己都合退職における雇用保険基本手当の給付制限期間短縮について
厚生労働省で開催された「第136回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」において、雇用保険基本手当の給付制限期間について見直す内容等が盛り込まれた報告書案が資料として公開されました。
基本手当受給の流れと、今回の見直しについて以下の通り解説いたします。
1.基本手当受給の流れについて
会社を退職すると、雇用保険の被保険者資格を喪失することとなり、会社がハローワークで手続きを行うことにより、退職者は「離職票」の交付を受けます。この離職票を、退職者がハローワークに持参して手続きをすることで、「基本手当」いわゆる失業手当が受給できます。
しかし、手続き後すぐにもらえるわけではなく、受給資格決定日(離職票の提出と求職の申し込みを行った日)から7日間は「待期期間」と呼ばれ、離職理由にかかわらず、全ての人が失業手当を受給できない期間となっています。
転職や独立など自己の都合により会社を退職した「自己都合離職者」の場合は、7日間の待期期間後、原則として3カ月の「給付制限期間」が設けられています。その期間は失業手当の給付を受けられません。
2.自己都合離職者の給付制限期間について
報告書案では、この「自己都合離職者」の給付制限期間を5年間のうち2回までに限り、2ヶ月に短縮する措置を試行するとしており、効果を2年間を目途に検証するとしています。
こちらの給付制限期間短縮については、詳細のリーフレットが鳥取労働局より公表されましたので参照ください。
3.被保険者期間について
この他にも、2020年8月からは、離職票の被保険者期間としてカウントする月を、現状の日数だけでなく、労働時間によってもカウントきる見直しもなされています。
具体的には、従来の「賃金支払の基礎となった日数が11日以上である月」の条件が満たせない場合でも、「当該月における労働時間が80時間以上」であることを満たす場合には算入できるようになります。
コロナ対応はもちろんですが、短いスパンで給付要件等が改定されています。日常の手続きや従業員への説明には十分な情報収集が不可欠です。
第136回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料 厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000187096_00012.html鳥取労働局ホームページ
https://jsite.mhlw.go.jp/tottori-roudoukyoku/newpage_00498.html -
2020年6月12日
社会保険料の納付猶予の特例について
新型コロナウイルスの影響で収入が大幅に減少している事業主を対象として、労働保険料・厚生年金保険料の納付猶予の特例が創設されました。
猶予(特例)は、要件を満たす事業主からの申請に基づき、適用の判断がなされます。この猶予(特例)が適用されると、猶予を受ける保険料等ごとに納期限の翌日から1年間、保険料等の納付の猶予を受けることができます。担保は不要で、延滞金もかかりません。
それでは、以下より概要を解説いたします。- 猶予の要件(労働保険・厚生年金保険共通)
以下のいずれも満たすことが必要です。- 新型コロナウイルスの影響により、事業に係る収入が前年同期比で概ね20%以上減少
- 上記(1)により、納付すべき保険料等を一時に納付することが困難であること
- 申請期限内に申請が行われていること
なお(1)については、現に満たしていない場合でも、今後の減少率の見込み等を勘案し総合的に判断が行われます。このような事情の場合は、以下の各窓口へご相談ください。
- 対象となる保険料等 (労働保険・厚生年金保険共通)
令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する保険料等 - 申請期限
- 労働保険:納期限まで
(令和2年2月1日から令和2年6月30日までの納期限分は、令和2年6月30日まで可)
なお、令和2年度の労働保険料の申告期限と全期・第1期の納期限は、令和2年8月31日まで延長となりました。分割納付の第2期以降の納期限は従来どおりです。 - 厚生年金保険:指定期限(毎月の納期限からおおよそ25日後)まで
(令和2年2月1日から令和2年4月30日までの納期限分は、令和2年6月30日まで可)
- 労働保険:納期限まで
- 申請書類
- 労働保険:「労働保険料等納付の猶予申請書(特例)」
- 郵送又は電子申請で申請 (電子申請の場合は、年度更新の申告時に添付)
- 申請書は、厚生労働省ホームページからダウンロードできます
- 厚生年金保険:「納付の猶予(特例)申請書」
- 郵送で申請
- 申請書は、日本年金機構ホームページからダウンロードできます
- 労働保険:「労働保険料等納付の猶予申請書(特例)」
※申請書の記載にあたり根拠となる書類等、詳細につきましては、各ホームページの「申請の手引き」をご参照ください。
<厚生労働省ホームページ>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10647.html<日本年金機構ホームページ>
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/20200501.html労働保険・厚生年金保険共に、猶予(特例)の申請には期限があります。根拠となる書類等のご用意が難しい場合でも、まずはお早めに 以下の各窓口へご相談ください。
<労働保険>所轄の都道府県労働局又は労働基準監督署
<厚生年金保険>管轄の年金事務所
- 猶予の要件(労働保険・厚生年金保険共通)
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2020年5月29日
小規模事業主の「雇用調整助成金」支給申請手順
更なる簡素化により、小規模事業主(従業員が概ね20人以下)については、判定基礎期間(給与計算期間)ごとに、以下の3つの書類を作成すれば、支給申請をすることが可能となりました。
※以下はパソコンで作成する場合を想定しています1.休業実績一覧表
従業員ごとに休業をした日数(時間数)と休業手当の額を入力することで、下記2の書類作成に必要となる休業延べ日数や休業手当の合計額が自動的に算出されます。
2.雇用調整助成金支給申請書
事業主や事業所の情報などの基本的な情報を入力し、別紙の助成率確認票でフローチャートに従って入力をしさえすれば、あとは上記1の入力内容が自動反映され、助成予定額が算出されます。
3.支給要件確認申立書
過去に不正受給に関与したことがあるかなど、不支給となる要件に該当していないか、申請内容に偽りがないかなどを確認する書類となります。
いずれも書類の流れに沿っていけば入力に困ることはありません。上記書類の作成が完了したら、あとは添付書類として以下のようなものをご用意すれば完了となります。
- 売上高等の減少がわかる書類(売上簿、レジの月次集計など)
- 休業させた日や時間がわかる書類(タイムカード、シフト表など)
- 休業手当の額がわかる書類(賃金台帳、給与明細の写しなど)
- 役員名簿(氏名・役職・性別・生年月日)
- 振込先口座の通帳等のコピー
なお、従来は作成・締結が必要であった休業協定書も不要となり、休業等規模要件についても従業員2人あたりで1日以上の休業に緩和されています。
以上のことは、雇用保険の加入者以外に対する緊急雇用安定助成金の場合も同様です。雇用調整助成金と同時に申請する場合には、上記3の書類は1つご用意すれば兼用することもできます。
それぞれ支給申請マニュアルが公表されていますので、詳細については、下記の厚生労働省サイトを参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.htmlアクタスでは、新型コロナウィルス対策にお困りの企業様に様々なご支援を行っています。お困りの際には下記までお気軽にご相談ください。
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2020年5月20日
オンライン申請を含む雇用調整助成金の更なる手続き簡素化
5月14日に政府から雇用調整助成金の上限額の引上げの方針が示されましたが、それに先立ち手続き面における大幅簡素化が明らかになりました。以下ではその内容につき速報でお伝えします。
- オンライン申請の開始(5月20日より)
窓口への持参、郵送だけでなくオンライン申請が可能となりました。 - 助成額算定の簡素化
- 小規模事業主(概ね従業員20名以下)
これまでは前年度の労働保険確定申告書の賃金額を用いていましたが、実際に支払った休業手当から助成額を算定することが可能となりました(助成額=実際に支払った休業手当×助成率)。これに合わせ申請様式も簡略化されています。 - 小規模事業主以外
労働保険確定申告書以外にも、源泉所得税の納付書に記載の賃金額をもとに助成額を算出することが可能となりました。また、算出にあって用いる年間所定労働日数を、休業実施前の任意の1ヶ月をもとに算出できる等の簡略化が図られました。
- 小規模事業主(概ね従業員20名以下)
- 計画届の提出が不要に
従来の特例では、計画届の6月末までの事後提出が可能であり、2回目以降の計画届の提出は不要とされていましたが、初回を含む計画届の提出が不要となりました。 - 申請期限の延長額
通常は支給対象期間(賃金締切日)から2ヶ月以内に申請が必要ですが、今回特例により、支給対象期間の初日が1月24日から5月末までの休業の申請期限が8月末までに延長されます。
これらは、雇用保険加入者以外に対する緊急雇用安定助成金も同様です。それぞれの詳細については厚生労働省サイトを参照ください。
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2020年5月15日
未払賃金の立替金制度について
新型コロナウィルスの影響を受けて、一部の企業で倒産が発生しています。今回は企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払いする「未払賃金の立替払制度」をご紹介します。
- 未払賃金の立替払制度の概要
企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払する制度です。全国の労働基準監督署及び独立行政法人労働者健康安全機構で制度を実施しています。 - 立替払を受けることができる人
立替払を受けることができる人は、次の要件を満たしている人です。- 1年以上事業活動を行っていた企業が倒産したこと。なお、倒産には次の2つの場合があります。
- 法律上の倒産
(破産、特別清算、民事再生、会社更生の場合)
この場合は、破産管財人等に倒産の事実等を証明してもらう必要があります。必要な用紙は労働基準監督署に備え付けてあります。 - 事実上の倒産
中小企業について、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払能力がない場合。この場合は、労働基準監督署の認定が必要ですので、労働基準監督署に認定の申請を行います。
- 法律上の倒産
- 労働者が、倒産について裁判所への申し立て等(法律上の倒産の場合)または労働基準監督署への認定申請(事実上の倒産の場合)が行われた日の6ヵ月前の日から年の間に退職した者であること。
- 1年以上事業活動を行っていた企業が倒産したこと。なお、倒産には次の2つの場合があります。
- 立替払の対象となる未払賃金
労働者が退職した日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している定期賃金※と退職賃金のうち、未払となっているものです。いわゆるボーナスは立替払の対象とはなりません。また、未払総額が2万円未満の場合も対象とはなりません。
※定期賃金
労働基準法第24条第2項に規定する、毎月1回以上定期的に決まって支払われる賃金(例:基本給・家族手当・通勤手当・時間外手当等)で、所得税、住民税、社会保険料等法定控除額を控除する前の額になります。 - 立替払をする額
立替払をする額は、未払賃金の8割です。ただし、退職時の年齢に応じて88万円~296万円の範囲で上限が設けられています。 - 使用者への求償
立替払した場合は、独立行政法人労働者健康安全機構がその分の賃金請求債権を代位取得し、本来の支払責任者である使用者に求償します。
未払賃金の立替払に関するお問い合わせ先は最寄りの労働基準監督署です。2.(2)にあるように、立替払の請求ができる期間には期限がありますので注意が必要です。
(参考)
厚生労働省 未払賃金立替払制度の概要と実績
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shinsai_rousaihoshouseido/tatekae/index.html独立行政法人労働者健康安全機構 未払賃金の立替払事業
https://www.johas.go.jp/tabid/417/Default.aspx - 未払賃金の立替払制度の概要
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2020年4月30日
雇用調整助成金を事後申請する場合の生産指標の比較方法
雇用調整助成金の支給要件に、事業活動の縮小として、売上高や生産量などの事業活動を示す指標が一定割合減少している生産指標があります。
生産指標要件として、3か月の平均値が、前年同期に比べ10%以上減少していることが通常求められますが、今回の特例措置拡大により、1か月間の値が、前年同月比(前年がない場合は、令和元年12月と比較)で5%以上の減少に要件が緩和されています。
この生産指標要件、通常は、計画届の事前提出が必要なため、休業実施前の売上等を比較することになります。ですが、今回は特例措置により、計画届の事後申請が認められているため、生産指標の比較方法が通常と異なります。今回の特例では、計画届を提出した日の前月の生産指標と前年同月の生産指標を比較することになります。そのため、計画届を休業の事後、同時、事前、どの段階で届出るかにより、比較する生産指標が次のように変わります。
例)5月に休業を実施予定の場合
- 6月(事後)に計画届を提出する場合
→ 令和2年5月と令和元年5月を比較 - 5月(同時)に計画届を提出する場合
→ 令和2年4月と令和元年4月を比較 - 4月(事前)に計画届を提出する場合
→ 令和2年3月と令和元年3月を比較
届出のタイミングにより比較する生産指標が変わりますので、申請にあたり注意をしましょう。また、休業の実施と休業手当支払い後の事後提出の場合、計画届と支給申請書を一緒に提出することも可能です。
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Webからのお問合せ - 6月(事後)に計画届を提出する場合
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2020年4月24日
雇用調整助成金を活用した教育訓練
今般の新型コロナウイルスの影響により、事業所において休業を実施し、雇用調整助成金の受給を検討されている企業も多いかと思います。この休業期間中に、従業員に対して一定の教育訓練を実施した場合には、教育訓練加算として助成額の上乗せを受けることができます。
従前は対象となる教育訓練が限定的であり、なかなか活用をしきれないところでしたが、雇用調整助成金の特例追加拡充によって、教育訓練についても要件が大きく緩和されましたので以下で解説いたします。
1.対象となる教育訓練の拡大
例えば、以下のような教育訓練については従前は加算の対象外でしたが、緊急対応期間中は対象に追加されます。これにより、多くの訓練で該当する可能性が高くなっています。
- 自社の通常カリキュラムに基づき行われるもの(自宅等で行う場合のみ)
例)入社時研修、新任管理職研修、OJTなど - 職業または職種を問わず、職業人として共通して必要となるもの
例)接遇・マナー研修、ハラスメント研修、メンタルヘルス研修など - 過去に行った教育訓練を、同一の労働者に実施するもの
※繰り返しの教育訓練が必要なものに限る
2.就労制限の緩和
訓練当日は就労をしないことが教育訓練加算の要件となっていましたが、半日(3時間以上)訓練後に半日就労することも可能となりました。この場合、教育加算額も半額となりますのでご注意ください。
3.教育加算額の引き上げ
従前の加算額は1日当たり1,200円(一律)でしたが、緊急対応期間中は、中小企業が2,400円、大企業が1,800円と大きく引き上げられました。
緊急事態宣言により休業せざるを得ず、先行きが不透明な現状に対して、経営者の方も従業員の方も大きな不安を抱えていることかと思います。現状を変えることはできませんが、休業期間中に教育訓練を実施することによって、社員の意欲の維持・向上を図り、休業後の事業展開・再起に備えることはできます。ここは、業務の見直しやレベルアップの良い機会(チャンス)と捉え、是非教育訓練の実施を検討してみてください。
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2020年4月17日
追加拡充で更に要件緩和された雇用調整助成金
これまで雇用調整助成金は、新型コロナウィルスの影響を受けて2月14日、同月28日、3月10日と特例措置が講じられてきました。更に4月1日から6月30日までは緊急対応期間として追加拡充が行われ、特例に次ぐ特例で、従来との差が非常に分かりにくくなっています。
そこで、以下では、従来は助成対象にならなかった場合との比較で今般の追加拡充で新たに受給可能となる要件(ケース)を解説します。
1.売上等の減少が前年同月比で10%未満でも対象に
従来は売上や生産量などの生産指標が、対前年同月比で10%以上減少している必要がありましたが、これが5%にまで緩和されました。これにより、売上等が前年同月を割っているケースのほとんどで助成対象となる可能性が高くなりました。
2.雇用保険加入者でないパートやアルバイト等も対象に
新たに週20時間未満の雇用保険未加入も助成対象に追加されます。自治体からの休業要請を受けて打撃を受けている飲食業など、とりわけ非正規雇用の比率が高い事業で休業を行うケースでは、助成対象の範囲が大きく広がることになります。
3.1日未満の短時間休業は、事業所一斉での休業でなくとも対象に
営業短縮などにより、終日ではなく時間単位で休業させる場合には、これまでは事業所の従業員を一斉に休業させる必要がありましたが、立地が独立した部門や店舗ごとなどでもよいことになりました。したがって、一部の部署や施設だけを時短営業にし、その傘下の従業員だけを短時間休業させるケースも助成対象となります。
4.休業延日数が5%(1/20)未満でも対象に
所定労働日数に対する休業延日数の割合(休業規模)が、中小企業は1/20、大企業は1/15以上を要していましたが、それぞれ1/40、1/30と半分に引き下げられました。例えば、大半がテレワーク等で通常勤務可能であり、休業対象者やその期間がかなり絞られるようなケースでも助成余地が広がります。
なお、上記3と4は1月24日に遡って遡及適用されます。その他、今般の特例では助成率の引上げや手続きの簡素化なども講じられています。詳細及び最新情報は、厚労省サイトを参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
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2020年4月14日
複数の事業主に雇用される高年齢被保険者の特例
昨今、働き方改革や新型コロナウイルスの影響もあり、テレワークや時差出勤、短時間勤務など多様な働き方への対応が急務です。
今回は働く人のセーフティネットである雇用保険の多様な働き方への対応として、令和4年1月より施行される「複数の事業主に雇用される高年齢被保険者の特例」について確認してみましょう。
上記特例ですが、次のいずれにも該当する労働者が申し出た場合には、高年齢被保険者となることができるものです。- 一の事業主における一週間の所定労働時間が20時間未満であること
- 二つ以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上のものであること
- 二つの事業主の適用事業における一週間の所定労働時間の合計が20時間以上であること
従来、雇用保険は主たる事業主との雇用関係のみで適用可否が判断され、 複数の事業主に雇用される労働者の場合、被保険者となるためにはいずれか単独で週20時間などの要件を満たす必要がありました。高年齢者の労働力活用は以前から政府方針の中心に位置づけられており、今回の改正は高年齢者の労働力活用に向けたセーフティネットの整備といえます。
多様な働き方に対応するために、労働・社会保険の制度整備が進む一方で、 諸手続きはもとより労務管理のあり方が、ますます複雑になっている印象です。会社は適切な管理を行うべく、最新の情報をキャッチしていく必要があります。
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2020年4月9日
在宅勤務中の中抜け時間の取扱い
新型コロナウイルスの感染防止施策として、テレワークによる在宅勤務を実施している企業が増えてきています。この度の緊急事態宣言を受けて、その数はさらに増えることが想定されます。
在宅勤務の導入は、「労働時間管理が難しい」という悩みが常にありましたが、情報通信技術の進歩により、今ではオフィス勤務と同じ就業ルールによる勤務、そのための労働時間管理は難しい問題ではなくなってきました。一方、利用者側からは、業務途中に私用により仕事から一時抜けする、いわゆる「中抜け」を認めてほしい、という声が増えてきています。特に、新型コロナの影響により、小学校等が休校となっている状況では、「中抜け」の可否は切実な悩みといえます。
会社が「中抜け」を認める場合、その時間の取扱いが気になるところです。中抜け時間の基本的な考え方は次のとおりです。
「使用者が業務の指示をしないこととし、情報機器の電源オフを認めるなど、労働者が労働から離れ、自由に利用することが保証されている場合、休憩時間として取り扱うことが可能」
従業員が自由に利用できる状態とし、中抜け時間の開始と終了時間を報告させることで、その時間は「休憩時間」とすることができます。休憩時間とする場合、中抜け時間の分終業時刻が繰り下がりますが、家庭の事情により終業時刻の繰り下げが難しい方もいるかもしれません。その場合、時間単位の年次有給休暇を導入し、中抜け時間について年次有給休暇を取得できるようにする方法もあります。なお、中抜け時間を認める場合、始業や終業の時刻が変更になるため、就業規則にその旨の定めが必要になります。また時間単位の年次有給休暇の導入には、就業規則の定めと共に労使協定の締結が必要となります。
この厳しい状況の中、従業員の安全を確保しながら、無理なく柔軟に業務を継続できる環境を整備することは、労使双方にとって有益な形となります。テレワークに際し、「中抜け」を可能とする制度を検討してみてください。
最後にアクタスでは、新型コロナウィルス対策にお困りの企業様に様々なご支援を行っています。お困りの際には下記までお気軽にご相談ください。
▼新型コロナウィルス対策のための人事制度を整備したい企業様は
アクタスHRコンサルティング株式会社
TEL:03-3224-8870
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2020年4月2日
感染症対策と新入社員の受け入れ
新型コロナウイルス対策として、テレワークや時差出勤、WEB会議の活用などを積極的に行っている企業も非常に増えてきています。一方で、これらを新卒社員・新入社員に対して、入社後すぐに展開していくことは決して容易なことではありません。特に、入社時研修については、対面での集合研修や現場の見学などを行ってきていることも多く、試行錯誤で対応されていることかと思います。
この点について、他社の動向として参考となるアンケート調査の結果を以下でご紹介いたします。いずれの調査結果も、新入社員研修は予定通り実施する回答が多いものの、宿泊を伴う研修や集合研修で行ってきたものは分散・縮小・期間変更で対応している傾向にあり、eラーニングなどのオンラインに切り替えているケースも多く見受けられるところです。
1.労務行政研究所「企業の新型コロナウイルス感染症対策に関するアンケート」
(調査期間3月13日~3月16日、調査対象476社)
https://www.rosei.or.jp/research/pdf/000077766.pdf<調査結果の要約>
- 新入社員に影響が大きいもの(複数回答)
「新入社員研修」が62.3%
「現場への配属」が27.6% - 新入社員に対する宿泊を伴う研修の実施
「実施を取りやめる」が28.2%
「予定どおり実施する」が25.0%
「一部変更して実施する」が22.5% - 内容を一部変更して実施する場合の変更内容(複数回答)
「研修メニューの一部省略」が61.9%
「期間の変更」が47.6%
「小集団に分けて実施」が計47.6%
「eラーニング・ウェブセミナーの活用」が計52.4%
2.日本CHO協会「入社式および新入社員研修に関する緊急アンケート」
(調査期間3月13日~3月16日、調査対象130社)
https://www.pasonagroup.co.jp/news/index112.html?itemid=3434&dispmid=798<調査結果のポイント>
- 新入社員研修の実施
「実施する」が76.9%(100社)
「実施しない」は7.7%(10社) - 新入社員研修を実施する企業の実施方法(複数回答)
「全新入社員を一か所に集めて集合形式で実施」が44社
「集合型とオンラインを併用して実施」が32社
「全新入社員を一か所に集めず、何か所かに分けて集合型で実施」が20社
「オンラインで実施」が14社 - 新入社員研修を実施しない企業の対応
「代替施策による対応を行う」が80%(8社)
具体的な代替施策としては「オンライン対応」が最も多い
以上は一例に過ぎず、業態によって取れる対応、取るべき対応も変わってきます。少なくとも研修メニューを重要度で選別・優先順位づけをし、不急のものは省略ないし後ろ倒しにするなど柔軟な対応が必要です。
新入社員(特に新卒)は、大きな期待とともに少なからず不安を抱えています。このような緊急事態時に、会社がどのような対応をとるかによって、会社に対するイメージが良くも悪くも本人に強く伝わってくるものですので、できる限りの配慮と真摯な姿勢での対応を心掛けたいところです。
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2020年3月18日
テレワークに関する規程整備のススメ
新型コロナウィルス対策として急遽テレワークを導入しているような場合、ひとまず最低限のルールを決めて対応されているケースも少なくないでしょう。今号では、新型コロナウィルス対策の長期化や、その先の東京オリンピックを見据えて、恒常的な制度としてルールを規程化していく際のポイントについて解説します。
1.規程化の必要性と就業規則上の位置付け
テレワークにあたり、労働時間や給与、費用負担などについて就業規則とは異なる取扱いをする場合には、規程上に明文化することが必要となります。就業規則本体に直接定めることでも足りますが、テレワーク特有のルールも少なくなく、制度の十分な理解や浸透を図る上でも、就業規則とは別個に規程を作成しておくべきです。別規程化する場合には、就業規則本体にテレワーク(就業場所の変更)の可能性を示したうえで、詳細については別規程に委ねる旨の定めを設けておくとよいでしょう。
2.定めておくべき事項
規程上には、主に以下のような事項を定めておくことが考えられます。
- 導入の目的
- 導入するテレワークの形態および定義
- 対象となる業務および対象者
- 申請の方法
- 服務規律および機密情報の取扱い
- 労働時間、休憩時間および時間外労働等の取扱い
- 出退勤、業務の報告方法および連絡体制
- 給与の取扱い、機器等の貸与および費用負担
- 教育訓練および安全衛生
3.規程化する上でのポイント(労働時間関連)
労働時間や休憩時間について、通常勤務時の働き方とは異なる取扱いをする場合には、その点を明記しておくことが必要です。時差出勤やフレックスタイム制など、テレワークを必要とする事情に合った働き方を可能にすることで、テレワークによる効果が得やすくなります。ただ、テレワークの場合、いつでも業務がし易い環境にもなるため、時間外勤務や休日・深夜の勤務が必要以上に多くなりがちです。そのため、一定の制限や許可制などを設ける場合には、この点についても明記しておくとよいでしょう。
4.規程化する上でのポイント(給与関連)
テレワークの場合、通常は通勤に要する費用が生じないことになるため、その利用頻度によっては、通勤手当を実費支給ないし不支給とするなどのルールをあらかじめ明確にしておくことが肝要です。一方で、テレワークにあたっては、光熱費や通信費などの諸費用や、本人所有の機器等を使用するケースが多少なりとも生じてきます。これを従業員の負担とする場合には、その旨を規程上で明記しておくことが必要となります。会社の負担とする場合であっても、私生活上の費用と容易には分けることができませんので、例えば「テレワーク勤務手当」などとして一定の金額を固定的に支給することが考えられます。この場合は、給与規程上においても明記したうえで、課税処理や割増賃金の算定基礎への算入も必要となりますので注意してください。
5.さいごに
規程はあくまでも就業する上での最低限のルールに過ぎません。テレワークが正しく利用・運用され、一定の効果を得るためには、会社・利用者・利用者以外の社員の三者間での信頼関係が大前提となります。これなしではどこかで綻びが生まれ、骨抜きの組織になりかねません。そのため、会社としてなぜテレワークを導入するのか、その結果として何を実現し、何を期待するのかをメッセージとして発信し、共通の認識としてもっておくことが欠かせないでしょう。
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2020年3月10日
2021年1月施行の子の看護休暇・介護休暇の柔軟化について
労働者の介護離職等の削減をねらいとして、2019年12月27日に改正育児・介護休業法施行規則及び改正指針が公布又は告示されました。この改正により、2021年1月1日からは、育児や介護を行う労働者が、子の看護休暇や介護休暇を「時間単位」でも取得することができるようになります。
今回の改正点および1時間単位の休暇取得時の注意点について、以下の通り解説いたします。
1.短時間労働者も取得可能へ
これまで、1日4時間以下の短時間労働者は、半日単位の休暇取得対象から除外されていましたが、この改正により、短時間労働者も1時間単位で取得することが可能になります。
2.就業時間の「中抜け」は認めない
1時間単位の休暇については、始業時刻から連続して、または、終業時刻まで連続して取得するものとし、原則、就業時間の途中の休暇取得は認めないこととなっています。ただし、法を上回る制度として、「中抜け」ありの休暇取得を認めるように配慮する旨が、指針で定められています。
3.1時間未満の端数が生じる場合の処理について
1日の所定労働時間が7時間30分であるなど、取得にあたり1時間未満の端数が生じる場合は、端数を1時間に切り上げて労働者の不利益にならないよう取り扱う必要があります。なお、30分単位での取得を認めるなど、労働者にとって不利益にならない運用であれば、切り上げない方法を選択することも可能です。
来年の話ではありますが、就業規則の改定や勤怠システムの対応など、確認すべき事項や社内スケジュールについて余裕をもって検討し、スムーズな導入を目指しましょう。
<厚生労働省ホームページ>
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000582033.pdf -
2020年3月10日
非常時におけるテレワークの導入
新型コロナウィルスの感染拡大を受け、従業員の感染リスクを減らそうと時差出勤のほか、テレワークの導入・拡大が急増しています。経団連によれば、感染対策で時差出勤を実施している企業は93.5%、テレワークを推奨している企業は、68.6%となっています。(経団連「新型コロナウィルス感染症拡大防止対策各社の対応に関するフォローアップ調査」(2020年3月9日発表)
今もなお、在宅勤務の導入を予定している企業は少なくないでしょう。以下では、緊急導入するにあたっての全般的な検討ポイントを解説します。
1.対象者及び対象業務
非常時において在宅勤務の対象にするのは、通常業務と同じ範囲ではなく、事業の継続性を確保する上で、必要な業務に限定すべきであり、緊急性の低い業務は一定期間中断・中止することを、まず考えるべきです。また、仕事の特性上、在宅勤務が不可能な業務も当然にありますが、従業員の公平性の確保よりも、オフィス内の感染リスクを最小限にするため、一部の者だけに限られたとしても、積極的に認めていくべきでしょう。
2.勤務時間
事業場外みなし労働など通常とは異なる時間制度の導入も考えられますが、非常時は原則オフィス勤務時と同じルールで運用するのがスムーズです。その上で、始終業時の連絡方法、半日在宅や在宅勤務中の中抜け可否などを企業の事情に応じて別途検討しておく必要があります。
3.費用負担
今やほとんどの家庭でインターネット環境が導入されていることから、会社が業務に必要な携帯電話やノートパソコンを貸与できるのであれば、ICT機器や通信費は、原則本人の追加負担なしで導入できるはずです。通勤費については、在宅勤務の頻度に応じて定期代でなく実費精算するなど例外ルールを設けておく必要があるでしょう。
4.インフラ(セキュリティ関係)
在宅勤務時に一番のネックとなるのが、やはりセキュリティの問題です。しかし、リモートデスクトップ等のセキュリティーツールを利用すれば、今や自宅にいながら、会社のパソコンを安全に操作できます。また、社外だとコミュニケーションがとりづらいという懸念もありますが、Web会議システムやチャットなどのICTを効果的に利用すれば、社内にいるのとさほど変わらないコミュニケーションをとることも可能です。
なお、在宅時の勤務ルールや待遇など労働条件に変更が生じなければ、現在の就業規則を変更せずに在宅勤務を適用し得るケースもあるでしょう。ただ、通常は手続きや条件面を別規程に定めるのが望ましいとされます。次号では、これらルールを規定化するにあたっての要点を解説します。
テレワークは、全て揃ってからでないと導入できない訳ではありません。「当社はテレワークには向いていない」と諦めかけている企業においても、部分的あるいは段階的になら、今から始めることは可能なはずです。新型コロナウィウル対策でお困りの際は、弊社までお気軽にご相談下さい。
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2020年3月5日
感染リスクの回避に役立つ時差出勤
政府による、新型コロナウィルスの感染拡大の防止策である小学校等の休校要請の影響が大きくなってきています。対象となる子どもを養育している従業員の中には、オフィスの出社が難しくなる人もおり、企業は事業継続にむけた対策が必要とされています。
また、オフィスに出社できる場合も、多くの人が通勤に利用する満員電車は、感染リスクが高いとされている「換気が悪く、人が密に集まって過ごす空間」に当てはまり、通常の通勤環境の継続は大きな感染リスクとなります。
その対策として注目されているのが、「テレワーク勤務」と「時差出勤」です。「時差出勤」は、始業時間を弾力的にすることで、通勤混雑の回避や、個々の事情に配慮した就業開始を可能とする制度です。時差出勤を導入するために、次のルールを予め決める必要があります。そして定めたルールは就業規則への記載が必要です。
- 時差出勤の勤務パターンの設定
- 時差出勤の対象者
- 勤務パターンの決定方法
- 勤務パターンの決定時期
1.時差出勤の勤務パターン
政府による、新型コロナウィルスの感染拡大の防止策である小学校等の休校要請の影響が大きくなってきています。対象となる子どもを養育している従業員の中には、オフィスの出社が難しくなる人もおり、企業は事業継続にむけた対策が必要とされています。
2.時差出勤の対象者
時差出勤は必ずしも全社員を対象にする必要はありませんが、感染防止対策の観点で考えると、休校により影響がでる従業員だけでなく、業務の特性上、時差出勤が難しい人を除き、全員を対象にすることが望ましいといえます。
3.勤務パターンの決定方法
設定した勤務パターンを会社と従業員のどちらが決定するかを決めます。平時であれば、会社が業務の状況を考慮しながら決定する運用も考えられますが、今回のケースは、個々の事情に対応できるように、従業員が決定する方法が推奨されます。
4.勤務パターンの決定時期
勤務パターンの決定は、1日単位、1週間単位、1か月単位が考えられますが、不測の事態が生じやすい現在においては、1日単位で柔軟に活用できる形式が望ましいと考えます。前日の帰宅までに翌日の出社予定をメンバー間で共有する仕組みを作り、当日、急な変更が生じた場合の変更ルールまで定めておくのが望まれます。
時差出勤を導入した場合、個々人の実労働時間の開始が異なるため、労働時間管理が煩雑となります。労働時間の把握に抜け漏れが出ないように、時差出勤に合わせた勤怠管理の実現も必要となります。次号では、テレワーク導入の全体像について解説をしていきます。
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2020年2月13日
従業員が新型コロナウイルスに感染した場合の対応方法
2020年2月1日付で、新型コロナウイルス感染症が指定感染症と認定されました。これにより、労働者が新型コロナウイルスに感染していることが確認された場合は、感染症法に基づき、都道府県知事が就業制限や入院の勧告等を行うことができることになります。
1.労働者が感染により休業した場合の賃金について
労働者が新型コロナウイルスに感染し、都道府県知事による就業制限を受けて休業する場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しないため、労働基準法第26条の休業手当(平均賃金の100分の60以上の手当)の支払義務は生じません。また、感染したか否か判別できない段階に、発熱等の症状により労働者が自主的に休業する場合は、通常の私傷病欠勤として取り扱います。ただし、使用者の判断により労働者を休業させた場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、休業手当を支払う必要があります。労働者が濃厚接触者となった場合、2020年2月12日時点では即時に都道府県知事による就業制限を受けませんが、保健所等の判断に基づき、その取り扱いを決定すべきと考えられます。
上記は、原則的な取り扱いをご案内しております。実際に感染者が発生した場合は、個別状況を考慮し、労使間で協議の上、決定していただくことが望ましいと考えられます。
2.感染の疑いがある際の有休取得について
労働基準法第39条に定められている年次有給休暇は、労働者が請求した時季に与えるものとされています。そのため、労働者の意思などによらず、使用者が一方的に有休を取得したものとして扱うことは認められません。また、有休とは別に、病気休暇の定めがある場合は、就業規則等の社内ルールに基づいて取り扱う必要があります。
今後、当該ウイルスの感染状況やその程度により、取り扱いに変更が生じる可能性があります。感染者や感染の疑いがある労働者が発生した場合は、厚生労働省や各都道府県の相談窓口にお問い合わせいただいた上で、適切な措置を講じる必要があります。
厚生労働省 電話相談窓口(フリーダイヤル)0120-565653
厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q3-1厚生労働省 感染症情報
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.html首相官邸 各都道府県の新型コロナウイルスに関するお知らせ
https://www.kantei.go.jp/jp/pages/corona_news.html -
2020年1月15日
賃金請求権の消滅時効が2020年4月より2年から3年に
2020年4月の民法改正に伴い、債権の時効が原則5年に統一されます。労働基準法の賃金請求権の消滅時効が現行の2年のままだと、民法より短くなる矛盾が生じるため、厚生労働省では2017年より検討会を立上げ議論を行ってきましたが、昨年12月24日に行われた労働政策審議会労働条件分科会において公益委員による見解が示され、民法改正と同じタイミングの2020年4月より賃金請求権の消滅時効を従来の「2年」から「3年」に伸長される見通しとなりました。公表された公益委員見解の主なポイントは以下のとおりです。
- 賃金請求権の消滅時効期間は5年とすべきであるが、直ちに変更することは労使の権利関係を不安定化する恐れがあること等から当分の間は3年とすべきである。
- 時効の起算点は現行の労基法の解釈・運用を踏襲するため、客観的起算点を維持し、労働基準法上へ明記すべきである。
- 退職手当の請求権の消滅時効期間は現行の5年を維持すべきである。
- 年次有給休暇請求権、災害補償請求権などの賃金請求権以外の請求権の消滅時効期間は2年とすべきである。
- 労働者名簿や賃金台帳等の記録の保存義務は、賃金請求権の消滅時効期間と同様に原則5年としつつ、当分の間は3年とすべきである。
- 付加金も賃金請求権の消滅時効期間と同様に原則5年としつつ、当分の間は3年とすべきである。
賃金請求権の消滅時効は、企業負担等も考慮し「3年」となりました。今後、国会で議論されたのち労働基準法が改正され、4月以降に支払われる賃金から適用となる見込みです。担当者は適切な労働時間の把握・管理を行うなど、賃金の不払いがないよう注意を払う必要があります。
人事労務