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2019年12月19日
特定一般教育訓練給付金制度の新設について
「特定一般教育訓練給付金制度」は、政府が発表した「人づくり革命基本構想」等において「ITスキルなどキャリアアップ効果の高い講座を対象に給付率を2割から4割へ倍増する」とされたことを踏まえ、2019(平成31)年3月の雇用保険法施行規則改正により新設されました。
一般教育訓練給付金に比べ、給付上限額が受講費用の4割となり、さらに年間上限額も従来の10万円から20万円に増額されています。この給付金を受給するためには、下記の受給要件を満たして対象講座を受講するだけでなく、講座の受講開始1ヶ月前までに住所地を管轄するハローワークで訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成し、受給資格の確認を行うことが必要となります。
- 受給要件
下記の要件を全て満たす方- 雇用保険の被保険者である方又は被保険者であった方のうち、被保険者資格を喪失した日以降、受講開始日までが1年以内の方 ※妊娠、出産、育児、疾病等の場合、延長制度あり。
- 受講開始日までの雇用保険被保険者期間が3年以上ある方 ※初回の場合は1年以上あれば可。
- 平成26年10月1日以降、教育訓練給付金を受給した場合は、前回の給付金受給日から受講開始日前まで3年以上経過している方
- 制度の対象となる講座
厚生労働大臣の指定を受けた講座
対象講座の一例:
大型自動車第一種・第二種免許、税理士、行政書士、司法書士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランニング技能士等
特例一般教育訓練新規指定講座一覧(令和元年10月指定)
https://www.mhlw.go.jp/content/11804000/000534903.pdf業務に関連する対象講座を周知するなど、社員の自己啓発支援に活用してみてはいかがでしょうか。
- 受給要件
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2019年11月20日
パワハラ防止指針の骨子案について
2019(令和1)年5月29日にいわゆる「パワハラ防止法」が成立しました。「労働施策総合推進法」の一部改正がなされ、職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して事業主の講ずべき雇用管理上の措置について明記された法案が、厚生労働省から示されました。今後パワーハラスメント対策の強化がなされることとなります。
ここでは「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の骨子(案)」の主な内容について触れます。1.職場におけるパワーハラスメントの内容
- 定義について
- 優越的な関係を背景とした言動であって、
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
- 労働者の就業環境が害されるもの
- 客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない
- 「職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については、「職場」に含まれること
- 「労働者」の範囲(派遣労働者の取扱い)
- 「優越的な関係を背景とした」言動の考え方
- 「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動の考え方
- 「就業環境を害すること」の考え方(「平均的な労働者の感じ方」を基準とすべきであることなど)
2.職場におけるパワーハラスメントの代表的な言動の類型
- 暴行、障害(身体的な攻撃)
- 脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言(精神的な攻撃)
- 隔離、仲間外し、無視(人間関係からの切り離し)
- 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
- 業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
- 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
- どのようなケースが該当し、又は該当しないと考えられるかの例示
3.雇用管理上講ずべき措置の内容
(1)事業主の方針等の明確化およびその周知、啓発
(2)相談に応じて適切に対応するために必要な体制の整備
(3)事後の迅速かつ適切な対応4.事業主が行うことが望ましい取り組みの内容
- コミュニケーションの円滑化、職場環境の改善 等
今後は相談窓口の設置等の対応が求められます。着実に対応ができるよう準備を進めるようにしましょう。
なお労働施策総合推進法の一部改正の施行は、大企業は2020(令和2)年6月1日より、中小事業主は2022(令和4)年4月1日から施行となる予定です。▽参考リンク
厚生労働省:「第18回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06743.html厚生労働省:「第21回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07479.html - 定義について
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2019年10月17日
両立支援等助成金について
両立支援等助成金 再雇用者評価処遇コースが、カムバック支援助成金に名称変更し、支給対象者が拡充されました。
- 両立支援等助成金とは
職業生活と家庭生活が両立できる“職場環境作り”のために、両立支援や女性の活躍に取り組む事業主を支援するために支給される助成金です。
この両立支援等助成金には以下の4つがあります。- 出生時両立支援コース(男性の育児休業取得を促進)
- 介護離職防止支援コース(仕事と介護の両立支援)
- 育児休業等支援コース(仕事と育児の両立支援)
- 再雇用評価者処遇コース【カムバック支援助成金】(育児・介護等による退職者の再雇用)
- カムバック支援助成金とは
上記の内、4.両立支援等助成金 再雇用者評価処遇コースについて、名称変更し、支給対象者を拡充したのが「カムバック支援助成金」です。「カムバック支援助成金」は、かねてより対象となっていた妊娠、出産、育児、介護に加えて配偶者の転勤等(配偶者の転居を伴う転職も含む)を理由として退職された方が、就業可能になったときに復職できる再雇用制度を導入し、希望者を採用した事業主に対して助成されます。 - 支給要件
- 妊娠、出産、育児、介護または配偶者の転勤等(配偶者の転居を伴う転職も含む)を理由とした退職者について、退職前の勤務実績等を評価し、処遇の決定に反映させることを明記した再雇用制度を導入すること。
- 上記制度に基づき、離職後1年以上経過している対象者を再雇用し、無期雇用者として6ヶ月以上継続雇用し、支給申請日においても雇用していること。
- 支給額
■中小企業
1人目…38万円<48万円>、2~5人目…28.5万円<36万円>
■中小企業以外
1人目…28.5万円<36万円>、2~5人目…19万円<24万円>
※<>内は生産性要件をみたした場合の額です。
※1企業あたり5人まで支給。
少子高齢化を背景に今後ますます人材確保が困難となることが予想されます。対応策の一つとして「再雇用」に目を向けてみてはいかがでしょうか。
制度の詳細は下記をご参照ください。
厚生労働省
<事業主の方への給付金のご案内>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html厚生労働省
<カムバック支援助成金のご案内>
https://www.mhlw.go.jp/content/000529414.pdf厚生労働省
<両立支援等助成金 支給申請の手引き(2019年度版)>
https://www.mhlw.go.jp/content/000539051.pdf - 両立支援等助成金とは
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2019年9月13日
税制改正における年末調整変更ポイント等について
2018(平成30)年度税制改正により令和2年の年末調整に適用される変更ポイント等について簡単に解説してまいります。
■「令和2年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の項目追加
地方税法の改正により、単身児童扶養者(児童扶養手当の支給を受けている児童と生計を一にする未婚のひとり親)に該当する場合も住民税の非課税措置の対象となりました。そのため、住民税に関する事項に単身児童扶養者欄が追加されました。
新様式
http://www.nta.go.jp/users/gensen/nenmatsu/index.htm■給与所得控除の引き下げ
給与所得額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を引いて算出します。この給与所得控除額が2020(令和2)年より一律10万円引き下げられることになります。また、給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額が現行の1,000万円から850万円に引き下げられ、給与所得控除の上限額も現行の220万円から195万円に引き下げられます。(年収850万円を超える場合、10万円以上の引き下げ額となります。)
■基礎控除の引き上げ
今まで基礎控除は納税者全員に対し、一律38万円が控除されていましたが、2020(令和2)年より基礎控除の額が最大48万円に引き上げられ、所得に応じて段階的に縮小するしくみへ変更となります。(合計所得金額が2,400万円を超えると控除額が徐々に引き下げられ、2,500万円を超えると控除額が0円になります。)
■配偶者控除や扶養控除の合計所得金額の要件変更
配偶者や扶養親族などの合計所得金額の要件も見直されることになります。具体的には、以下の4つの要件が見直されます。
- 配偶者控除 改正前38万円以下 → 改正後48万円以下
- 配偶者特別控除 改正前38万円越え123万円以下 → 改正後48万円越え133万円以下
- 扶養控除 改正前38万円以下 → 改正後48万円以下
- 勤労学生控除 改正前65万円以下 → 改正後75万円以
(参考資料)源泉所得税の改正のあらまし ー令和元年5月ー ※6ページ以降をご参照下さい
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0019004-078.pdf(参考資料)源泉所得税の改正のあらましの正誤表 ー令和元年5月ー
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0019005-025.pdf実際には2020(令和2)年の年末調整の際に影響してきますが、法改正について予め整理しておきましょう。
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2019年8月15日
2019年最低賃金の目安が公表されました
2019年の最低賃金引き上げ額の目安が公表されました。近年の大幅な引き上げ傾向は今年も続き、全国加重平均901円は昨年の874円から27円引き上げという過去最大の上げ幅となりました。「ニッポン一億総活躍プラン」では将来的に全国加重平均1,000円以上を目指すとしており、今後の動向も引き続き注目されます。
今回公表された各都道府県別の引き上げ目安は以下の通りです。
Aランク:28円
埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪Bランク:27円
茨城、栃木、富山、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島Cランク:26円
北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、徳島、香川、福岡Dランク:26円
青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄なお最低賃金はこの目安を元に毎年10月頃に都道府県単位で改定されますが、この8月9日に都道府県労働局に設置されているすべての地方最低賃金審議会が答申を済ませており、東京都は1,013円、神奈川県は1,011円と全国初の1,000円超えとなっています。さらに19県で当該目安額を超える引上げ額を答申しています。
(参考)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06141.html最低賃金は原則すべての労働者に適用され、時給の労働者のみならず月給制の労働者や出来高払制の労働者にも適用されます。最低賃金を下回る賃金設定は無効となるだけでなく、罰則を科される可能性もあるので、事前の確認をしておきましう。
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2019年7月15日
日・中社会保障協定の発効に伴う手続きの注意事項
1.社会保障協定とは
海外に従業員を派遣する場合、日本と派遣されて就労している国の両国の社会保障制度に加入する必要があります。その場合、日本と海外の社会保障制度における保険料を二重に負担することとなり、また将来それぞれの国で年金を受け取ろうとしても加入期間が短くて年金受給できないケースが考えられます。
社会保障協定とはこれらの問題を解決するために二国間で締結されるものです。
(1)二重加入の防止(適用調整)
(2)年金制度加入期間の通算(1)については、相手国への派遣の期間が5年を超えない見込みの場合には、当該期間中は日本の法令のみを適用し、5年を超える見込みの場合には、相手国の法令のみを適用することとなっています。
※どちらの国の制度に加入するかを事業所や本人が自由に選択できるものではありません。
2.日・中社会保障協定の内容について
社会保障協定は締結している国ごとに内容が異なります。今回は日・中社会保障協定の主な内容・手続きについて見ていきましょう。
(1)内容
日・中社会保障協定では、二重加入の防止の制度のみ対象となります。年金加入期間の通算は対象外です。(2)派遣期間の取扱い
派遣期間の長さの「見込み」は必要なく、派遣開始日から5年間は日本の年金制度のみに加入となります。(3)派遣期間の延長について
派遣期間が5年を超える場合については、申請に基づき両国関係機関で個別判断の上、引き続き日本の年金制度のみに加入することができます。※特段の事情がない限り、延長期間は5年を超えないこととする。
3.手続きについて
中国の事業所へ派遣される従業員がいる場合、原則派遣前に「適用証明書」の交付申請手続きを行う必要があります。日本年金機構から交付された適用証明書は、派遣先の中国の事業所を通じ、中国制度の適用免除の手続きを行うこととなります。また、協定発効日より前から中国へ派遣されている従業員は、協定発効日に中国へ派遣されたものとして取り扱われます。適用証明書交付申請の受付開始は2019年8月1日(協定発効日の1ヶ月前)ですが、 発送は2019年9月1日(協定発効日)以降順次となりますのでご注意ください。詳細は下記からご確認ください。
日本年金機構 「日・中社会保障協定 申請書一覧(加入免除手続き)」
https://www.nenkin.go.jp/service/kaigaikyoju/shaho-kyotei/sinseisho/china.html -
2019年6月14日
特定の法人における電子申請義務化について
平成30年4月24日に規制改革推進会議・行政手続部会が行われ、行政手続コストの削減に向けて、今後の方針が検討され、検討内容が開示されました。それを受けて、平成30年12月28日に社会保険の、平成31年3月8日には労働保険の、一部手続の電子申請を義務化する省令が交付され、令和2年4月より特定の法人に対して適用されます。ここで制度の概要をご案内いたします。
■「特定の法人」とは
- 資本金、出資金又は銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人
- 相互会社(保険業法)
- 投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律)
- 特定目的会社(資産の流動化に関する法律)
■「一部の手続」とは
- 健康保険・厚生年金保険
- 被保険者標準報酬月額算定基礎届
- 被保険者標準報酬月額変更届
- 被保険者賞与支払届
- 労働保険
- 継続事業(一括有期事業を含む。)を行う事業主が提出する
- 年度更新に関する申告書
(概算保険料申告書、確定保険料申告書、一般拠出金申告書) - 増加概算保険料申告書
- 雇用保険
- 被保険者資格取得届
- 被保険者資格喪失届
- 被保険者転勤届
- 高年齢雇用継続給付支給申請
- 育児休業給付支給申請
制度の詳細はこちらからご確認ください。
厚生労働省
「2020年4月から特定の法人について電子申請が義務化されます」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00004.html健康保険法施行規則及厚生年金保険法施行規則の一部を改正する省令の公布について
(平成30年12月28日 保発1228第3号 年管発1228第7号)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T190104T0030.pdf労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則及び厚生労働省関係石綿による
健康被害の救済に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等について
(平成31年3月8日 基発0308第1号)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T190527K0020.pdf -
2019年5月15日
外国人雇用管理指針の主な内容について
2019年4月から新しい在留資格として「特定技能」という就労ビザが導入されました。このビザの創設により深刻な人手不足と認められた業種(建設業、宿泊業、外食業など)において外国人労働者の増加が予想されています。今号ではあらためて外国人労働者(技能実習含む)を雇い入れた際に注意すべき点について、その「指針」を解説してまいります。
事業主が講ずべき必要な措置は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」第8条に基づき「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」があります。
この「指針」は、外国人労働者が日本で安心して働き、在留資格の範囲内でその能力を十分に発揮する環境が確保されるよう事業主が行うべき事項について定められた内容になっています。あらためて留意すべき7つのポイントを確認致します。- 募集及び採用の適正化について
予め業務内容や賃金・労働時間等の諸条件について、書面やメール等を用いて明示しなければなりません。特に来日前では渡航費用や住居の確保について明確にすることが求められます。また採用後従事する業務について在留資格上従事することが認められる者であることを確認し、そうでない者は採用してはなりません。 - 適正な労働条件の確保
労働条件について国籍を理由に差別的取扱いをしてはなりません。また労働契約の締結に際して、母国語その他当該外国人が使用する言語または平易な日本語により明示を行い、本人が理解できるようにすることが求められます。労働条件の明示は原則として書面での交付が義務付けられていますが、本人が希望する場合には次の方法により明示することも可能です。(出力して書面を作成できるものに限られます)- 電子メール
- FAX
- SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)
※2019年4月1日に労働基準法施行規則第5条が改正され、外国人労働者に限らず日本人労働者についても同様の対応が可能となっています。
- 安全衛生の確保について
使用させる機械や原材料等の危険性、有害性及びこれらの取扱方法等が確実に外国人労働者に理解してもらえるよう努めなければなりません。(前述の労働条件の明示と同様の対応が求められます) - 労働保険・社会保険について
労働・社会保険に係る法令の内容及び保険給付に係る請求手続等について、外国人労働者が理解できる方法により周知するよう努めるとともに、被保険者に該当する外国人労働者に係る適用等必要な手続きを取らなければなりません。また公的年金の加入期間が6ヵ月以上の外国人労働者が帰国する場合、帰国後に脱退一時金の支給を請求し得ることや請求をした場合の留意事項(将来年金としてもらえなくなる等)について帰国前に説明するよう努めなければなりません。 - 人事管理について
外国人労働者が円滑に職場に適応できるよう社内規程や会社のルールに関する定めを多言語化して作成し、職場における円滑なコミュニケーションの前提となる環境を整備できるよう努めなければなりません。 - 外国人労働者の雇用状況の届出について
新たに外国人を雇入れた場合もしくはその雇用する外国人が離職する場合等には一定の要件に従って公共職業安定所に届け出が必要となります。 - 外国人労働者の雇用労務責任者の選任について
外国人労働者を常時10人以上雇用するときは「外国人労働者雇用労務責任者」を選任する必要があります。雇用労務責任者は、この指針に定める雇用管理の改善に関する事項を管理するため一般的に人事・労務課長などから選任します。
なお、当該指針等の詳細についてはこちらをご覧ください。
厚生労働省
<外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針>
https://www.mhlw.go.jp/content/000493590.pdf厚生労働省
<労働契約締結時の労働条件の明示 ~労働基準法施行規則が改正されました~>
https://www.mhlw.go.jp/content/000481172.pdf - 募集及び採用の適正化について
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2019年4月15日
「健康情報取扱規程」の策定義務について
2018年6月に成立した働き方改革関連法による労働安全衛生法の改正に基づいて、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」が同年9月に策定され、2019年4月1日より適用となっています。
健康情報取扱規程の策定の目的は以下です。
健康診断等従業員の健康に関する情報は機微な個人情報であり、雇用管理において従業員が不利益な取扱いを受けるという不安を抱くことなく安心して健康相談等を受けられるようにすること、また従業員の心身の状態の情報を収集し健康確保措置を十全に行えるようにすることから、全ての企業が「健康情報取扱規程」を定め、従業員の健康に関する情報を適正に管理・活用しなければならないと示されています。
なお「健康情報取扱規程」の策定にあたっては、以下のように労使で協議する必要があります。
- 「(安全)衛生委員会」がある場合、衛生委員会にて議論します。
- 「(安全)衛生委員会」がない場合、従業員から意見を収集する場を設ける、または労働者の過半数代表から意見を聴取します。
策定した「健康情報取扱規程」は、必ず従業員全体へ周知が必要です。周知方法は、常時各作業場の見やすい場所に掲示し備え付けるなど、就業規則の周知方法と同様です。また、新たに策定しても、現在運用している就業規則や従業員向けの個人情報保護規程に盛り込んで管理することも可能です。
規程内容等、詳しくはこちらをご覧ください。<事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き>
https://www.mhlw.go.jp/content/000497426.pdf -
2019年3月8日
厳格化された扶養認定における続柄の確認
厚生労働省より、国内に住むご家族の扶養認定は、身分関係及び生計維持関係の確認について、申立てのみの認定は行わず、証明書類に基づくよう、事務の取扱いが示されました。これにより、平成30年10月1日より、日本年金機構の「健康保険被扶養者(異動)届」には、対象ご家族の続柄確認のため添付書類が求められることとなりました。
原則の添付書類は、戸籍謄本または戸籍抄本、住民票(被保険者が世帯主で扶養に入るご家族と同一世帯に限る)のいずれかです。手続きを郵送で行う場合は原本を、電子申請の場合はPDFを添付します。なお、この添付書類を省略できる場合として、被保険者と扶養に入るご家族のマイナンバーを届書にそれぞれ記載し、事業主はその続柄に相違ないことを確認した旨を備考欄に記載することとなっています。
添付書類がなく、マイナンバー・事業主の続柄確認済みの記載もないまま届出を行いますと、書類不備として返戻されてしまいます。この取扱いについて、あらためて周知する内容のリーフレットが今年1月末に日本年金機構から事業所に向けて一斉送付されています。変更から数か月経ちますが、認知度はまだ十分でないことが伺えます。
<日本年金機構のリーフレット>
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2018/201809/20180905.files/310131-0.pdf続柄の確認以外にも、所得税法上の控除対象でない16歳以上のご家族や別居のご家族を扶養に入れる場合の必要書類が記載されています。 扶養するご家族の状況に応じて必要書類が異なりますので、従業員からの申し出にスムーズに対応できるよう確認しておきましょう。なお、健保組合に加入の事業所においては健保組合ごとに取扱いが異なりますので、加入先へご確認ください。
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2019年2月14日
フレックスタイム制の清算期間の延長について
フレックスタイム制とは一定期間の総労働時間を定め、その範囲内で労働者が各日の始業、終業時刻を決めることができる制度です。今までフレックスタイム制の清算期間の上限は「1か月」でしたが、法改正により「3か月」に延長されます。1か月を超えるフレックスタイム制を採用することで、今までは各月の中で労働時間を調整していたところ、月をまたいで調整できるようになるため、より柔軟な働き方が可能となります。
一方、清算期間が1か月を超えることにより、以下の2つの枠で法定外労働時間を把握、集計しなければならない為、管理が複雑となります。
- 清算期間全体で総労働時間が平均週40時間を超える時間
- 清算期間の開始から1か月ごとに区切った各期間についてその期間を平均して1週間当たりの平均労働時間が50時間を超える時間
また、労使協定の届出が必要となる点も改正のポイントとなります。その他にも、特定の月に長時間労働が発生する可能性があるので、フレキシブルタイムの設定や勤務間インターバル制度の検討、長時間労働者への面接指導など、労働者の健康予防にも配慮する必要があります。
厚生労働省からフレックスタイム制のリーフレットが公開され、時間外労働の考え方や労使協定例、Q&A等が掲載されていますので、導入の際はご活用ください。
<フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き>
https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdfその他働き方改革関連法に関するリーフレットや通達が厚生労働省より公表されましたので、お知らせします。
同一労働同一賃金特集ページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html -
2019年1月15日
最注目の同一労働同一賃金ガイドラインの公表について
同一労働同一賃金をめぐっては、2016年12月20日に「同一労働同一賃金ガイドライン案」が公表され、今後の動きが注目されてきました。その後は、長澤運輸事件やハマキョウレックス事件等の最高裁判決も受けながら、先般公布された働き方改革関連法にも、その基本スタンスが盛り込まれてきたところです。そして、年末の12月28日に「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」として、正式なガイドラインが官報交付されました。
内容については、期待に反して従来のガイドライン案と大きく変わり映えはしませんが、均等待遇(差別的取扱の禁止)や均衡待遇(不合理な待遇の禁止)の対象となる労働条件の範囲としては以下のとおりとなっています。
- 基本給(昇給を含む)
- 賞与(会社の業績等への従業員の貢献に応じて支給するもの)
- 各種手当(役職手当、残業手当、精皆勤手当、通勤手当、地域手当など)
- 福利厚生(法定外の有給休暇、慶弔休暇、病気休職、施設・社宅など)
- その他(教育訓練、安全管理措置・給付)
上記のほか、退職金、住宅手当、家族手当等についても不合理と認められる待遇の相違がある場合には、その解消が求められています。
施行日は、中小企業が2021年4月から、それ以外が2020年4月からとなっていますが、会社の現状によっては悠長な話はしていられません。会社においては、いわゆる非正規社員の今後の在り方や方向性等について、まずは現状の確認(雇用形態や待遇の相違やその理由)から議論を進めていきましょう。
【厚生労働省】同一労働同一賃金特集ページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
人事労務