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2015年12月9日
来年以降の扶養控除等申告書への個人番号記載について
毎年、年末調整の申告書を回収する際に、当年分と併せて翌年分の扶養控除等申告書を回収する会社も多いと思います。
ご存知の通り、マイナンバー制度が開始される2016年以降に提出する扶養控除等申告書には個人番号を記入しての申告が原則となりますが、この度国税庁のFAQに個人番号の記載の省略について公開されました。【国税庁】源泉所得税関係に関するFAQ
http://www.nta.go.jp/mynumberinfo/FAQ/gensen_qa.htm#a19今回、次の要件を満たす場合は個人番号の記載を省略しても差し支えがないこととされました。
- 社員が扶養控除等申告書の余白に「個人番号については給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨を記載して提出する
- 会社は既に提供を受けている社員の個人番号を確認し「確認した」旨を扶養控除等申告書に表示する
ただし、個人番号の記載を省略する場合、次の条件を守る必要があります。- 個人番号以外は前年と変更がない場合であっても省略しないこと
- 個人番号を省略した申告書の提出を税務署に求められた場合、会社が個人番号を記載した上で提出すること
- 会社は保有する個人番号を申告書の保存期間(7年間)は、廃棄又は削除せず、また保存期間を過ぎたら速やかに廃棄又は削除すること
上記の対応により個人番号の記載を省略する場合、保管している個人番号と省略された者に係る個人番号については、適切かつ容易に紐づけられるよう管理することが会社には求められます。
申告書への個人番号記載を省略できれば、紙媒体の特定個人情報ファイルの管理負荷は大きく軽減されることが考えられます。今回の方法を採用するか否か、会社の方向性を見定める必要があります。
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2015年11月11日
本人交付用源泉徴収票へのマイナンバー記載不要へ
2015(平成27)年10月2日に所得税法施行規則の改正が行われ、マイナンバーの記載が必要とされていた源泉徴収票の取扱いが変更となり、本人に交付する源泉徴収票へのマイナンバー記載が不要となりました。これにより、来年1月のマイナンバー法施行後に退職する社員へ交付する給与所得の源泉徴収票に個人番号を記載する必要がなくなりました。
給与所得の源泉徴収票以外にも、次の税務関係書類を本人に交付する場合も同じように個人番号の記載が不要となりました。
<個人番号の記載が不要となる税務関係書類>
- 給与所得の源泉徴収票
- 退職所得の源泉徴収票
- 公的年金等の源泉徴収票
- 配当等とみなす金額に関する支払通知書
- オープン型証券投資信託収益の分配の支払通知書
- 上場株式配当等の支払に関する通知書
- 特定口座年間取引報告書
- 未成年者口座年間取引報告書
- 特定割引債の償還金の支払通知書
(未成年者口座年間取引報告書及び特定割引債の償還金の支払通知書は、2016(平成28)年1月施行予定となっています)
なお、上記の書類を税務署に提出する場合には、予定通り個人番号の記載が必要となりますのでご注意ください。
今回の改正について、国税庁よりリーフレットが公開されておりますのでご確認ください。
【国税庁】
法定調書提出義務者・源泉徴収義務者の方へのお知らせ(リーフレット)
https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/pdf/mynumber_gensen.pdf -
2015年10月6日
改正労働者派遣法について
9月11日の衆院本会議で改正派遣法が可決成立しました。
主な改正点は以下の通りです。- 派遣業の開業は全て許可制へ
これまでは、自社に既に雇用されている社員を派遣する特定労働者派遣事業については届出制が認められていましたが、その区分は廃止され、すべて許可制となります。 - 雇用安定措置の実施
同一の組織に継続して3年間派遣される見込みがある方に対し、派遣元は派遣先へ直接雇用の依頼をすることが義務化されます。また、直接雇用に至らなかった場合には、新たな派遣先の提供、派遣元での無期雇用への転換などの雇用安定措置を講ずる必要がでてきます。 - 派遣期間のルール変更
従来は通訳などの26種の専門業務以外(例えば一般事務)においては、派遣社員を変えたとしても3年までしか受け入れることが出来ませんでしたが、改正により専門業務区分を廃止し派遣社員を変えれば3年を超えて受け入れることができるようになります。
働き方の多様化等にともない、企業にも非正規社員の採用、活用についての見直しが求められています。改正労働者派遣法は9月30日より施行されておりますので、派遣元、派遣先、派遣社員の方は、内容をしっかり把握しておくようにしましょう。
【厚生労働省】平成27年労働者派遣法の改正について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386.html - 派遣業の開業は全て許可制へ
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2015年9月8日
個人番号の通知と個人番号カードの申請方法について
1.ついに始まる個人番号の通知
個人番号は、10月以降市区町村から郵送される「通知カード」によって通知されます。通知カードは住民票の世帯ごとに簡易書留で送られます。現在お住まいの場所と住民票の住所が異なる場合、通知カードの受け取りができない可能性がありますので、早めに住民票住所の確認が必要です。
通知カードには基本4情報と呼ばれる「氏名、住所、生年月日、性別」と付番された個人番号が記載されます。通知カードが届きましたら大切に保管するようにしてください。
2.個人番号カードとは
個人番号カードは、2016年1月以降に市区町村へ申請することで、無料で交付されるICチップ付きのカードです。個人番号カードの表面に基本4情報と顔写真、裏面に個人番号が記載され、ICチップは裏面に搭載される予定です。
個人番号カードは顔写真の記載により公的身分証明書として利用できます。個人番号カードにより、マイナンバーを記載した書面提出時の本人確認も1枚で完了します。また、図書館や印鑑登録証などの証明書取得などの自治体が条例で定めるサービスへの利用や、ICチップ内の電子証明書を用いた電子申請を行えたり等、様々な用途への利用、将来的な用途拡大が検討されています。
ICチップには所得情報や健康情報などのプライバシー性の高い個人情報は記録されず、万一、紛失や盗難にあった場合の、コールセンターによる24時間365日の対応など、国として安心・安全な対応を予定してます。
3.個人番号カードの申請方法と受取方法
個人番号カードの交付申請は2つの方法が予定されています。1つ目は通知カードに同封される申請書に署名又は記名捺印をし、顔写真を貼り付けて返信用封筒で申請する方法です。2つ目はオンラインによる申請です。オンライン申請はスマートフォン等で撮影した顔写真を使用しての申請が予定されています。
申請した個人番号カードは市区町村の窓口で受け取ることになります。市区町村から申請後に「交付通知書」が届きますので、運転免許証などの本人確認書類と通知カードを持参して窓口で受け取ります。また、住基カードをお持ちの方はあわせて返却が必要となります。個人番号カードの交付は、企業による社員分の一括申請、職場での配布も検討されています。
ついに制度開始に向けて大きな動きが迫ってまいりました。会社の導入準備は万全でしょうか。具体的な導入準備が進んでいない、とお悩みの会社には、短期間で簡単に導入準備ができる 「マイナンバー制度導入支援キット」をお勧めします。導入準備の具体的なステップが確認でき、テンプレートを使用することで短期間で規程や業務フローが準備できます。
詳しくは以下のサイトをご覧ください。
http://bugyo-navi.jp/mynumber/今後も新しい動きがありました際には、随時最新情報をお届けいたします。
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2015年8月10日
マイナンバーを取扱うための6つの安全管理措置
会社はマイナンバーの漏えいなどを防ぐために、マイナンバーを適切に取扱うための安全管理措置を講じる必要があります。
今回は、ガイドラインで定められている、会社に対応が求められる6つの安全管理措置についてお伝えします。- 基本方針の策定
個人番号や特定個人情報(以下、特定個人情報等という)の取扱いについて組織として取り組むための基本方針を策定し、社員に周知をします。基本方針の策定は必ずしも義務ではありませんが、社員に対し、会社の方針を明確にするためにも作成が望ましいといえます。 - 取扱規程等の策定
特定個人情報等の具体的な取扱いルールを策定します。策定手順として、事務の流れを整理し、個人番号の取得、利用、保存、提供そして廃棄の各段階における取扱方法、責任者と事務担当者それぞれの役割を定めます。 - 組織的安全管理措置
特定個人情報等を適正に取扱うための組織体制、(2)のルールが正しく運用されていることを確認する組織体制を次のような手法で整備します。- 事務における責任者と取扱担当者を決め、その役割と責任を明確化
- 特定個人情報等の漏えいリスクを把握した場合の報告連絡体制を設置
- 取扱規程等の運用状況確認のため、システムログ又は利用実績を記録
- 人的安全管理措置
特定個人情報等を適切に取扱うために、事務取扱担当者に対し、次のような監督と教育を行います。- 特定個人情報等についての秘密保持に関する事項の就業規則への追加
- 事務取扱担当者に対する定期的な研修や勉強会を実施
- 物理的安全管理措置
特定個人情報等の外部への漏えいを防止するために、次のような物理的な手法による情報管理を行います。- パーテーションの設置や座席配置の工夫などによる特定個人情報等を取扱う区域の明確化
- キャビネットの施錠やセキュリティワイヤーによるパソコンの固定などによる特定個人情報等を取扱う機器、電子媒体等の盗難の防止
- 書類を封書にするなど、特定個人情報等の外部持ち出し方法の限定
- 特定個人情報等の廃棄記録の保存
- 技術的安全管理措置
特定個人情報等をデータベースで管理する場合、不正アクセスなどが生じないよう、次のような技術的な手法による情報管理を行います。- ファイアウォール等の設置による不正アクセスの遮断
- ユーザーIDやパスワードによるアクセス者の識別と認証
- 特定個人情報等を外部に送信する場合のデータの暗号化
この安全管理措置については、従業員数100名以下の中小規模事業者に該当する場合、取扱う特定個人情報等の数量が少なく、事務取扱担当者も限定されることが見込まれるため、特例的な対応が認められています。
安全管理措置の対応は、自社の実情に合わせて、無理のない手法による準備を進めていきましょう。なお、アクタスでは「人事部はマイナンバーにノータッチ」を掲げて、マイナンバー管理業務代行サービスを提供しております。
【アクタス】マイナンバー人事給与アウトソーシングサービス
http://www.actus.co.jp/lp/mynumber/安全管理措置の検討にあたり、特定個人情報等に関する事務を、自社内で行うのか、外部に委託するのかも検討してみてはいかがでしょうか。
- 基本方針の策定
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2015年7月7日
マイナンバーを保管、廃棄する際のポイント
前回のお役立ち情報では、マイナンバーを利用する際のポイントを確認しました。
今回は、マイナンバーの保管、廃棄のポイントについてお伝えします。- 個人番号には保管制限がある
- 個人番号の保管は利用の必要がある場合のみ
個人番号等の特定個人情報は、マイナンバー法で定められた社会保障や税の事務に必要がある場合に限り、保管し続けることができます。社員の退職などにより、個人番号を事務で利用しなくなった際は、その個人番号をできるだけ速やかに廃棄しなければなりません。
扶養控除等申告書のように所管法令で保存期間が定められている書類は、その保存期間まで保管し、保存期間の経過後に廃棄する必要があります。これまでは保存期間まで保管をすれば、期間を超えて保管を継続することは問題ありませんでしたが、今後は個人番号の記載がある書類は期間を超えて保管を継続することはできません。 - 継続的に保管できる場合
雇用契約が継続している場合、社員から提供を受けた個人番号を給与の源泉徴収事務や社会保険届出事務等のために、翌年以降も継続的に利用する必要が認められるため、特定個人情報の継続的な保管が可能です。休職中の社員や、海外赴任中の社員の場合も、雇用契約は継続しているため特定個人情報を継続的に保管することができます。
また、保存期間が経過した書類を引き続き保管したい場合、個人番号部分を復元できない程度にマスキングしたり、削除をすれば、個人番号以外の情報を継続して保管することは認められています。
- 個人番号の保管は利用の必要がある場合のみ
- 廃棄時期は各事業者の判断で決める
利用が終わった個人番号はできるだけ速やかに廃棄する必要がありますが、廃棄作業を行うまでの期間については、明確な時期は定められておりません。「毎年度末に行う」等、会社が判断することが認められていますので、廃棄時期については情報管理の安全性や事務の効率性等を勘案して会社ごとで決めることができます。
マイナンバーの保管は将来の廃棄事務を想定し、年次別に管理したり、保管年限を明記するなど、廃棄を前提とした保管体制が必要となります。
次回は、安全管理措置や社員教育についてお伝えいたします。
- 個人番号には保管制限がある
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2015年6月8日
会社がマイナンバーを利用する際のポイント
今回は、会社がマイナンバーを利用する際のポイントと、利用場面の具体例についてお伝えいたします。
- マイナンバーの利用は、法律、条例で定められた手続きだけ
マイナンバー法では、マイナンバーを社会保障、税、災害対策の3分野でのみ利用できると定めています。具体的には、この3分野で法律や自治体の条例で定められた行政手続きでのみ、会社は社員等から取得した個人番号を利用し、他人に提供することができます。したがって、個人番号を社員管理のために社員番号に利用するなど、法律、条例で定められた手続き以外の利用はできません。 - マイナンバーの利用場面の具体例
- 会社が届け出をする雇用保険や社会保険の事務手続き
会社は、マイナンバー制度開始以降は、資格取得届や資格喪失届などの雇用保険や社会保険の手続きの際に、社員から取得した個人番号を届出様式に記載して、役所等へ届け出します。今後個人番号の記載に対応するため、届出様式が変更される予定です。
個人番号記載の開始時期は、雇用保険と社会保険で異なります。雇用保険は、マイナンバー制度開始の2016(平成28)年1月から開始となり、健康保険、厚生年金保険は1年後の、2017(平成29)年1月からの開始となります。開始時期が異なる点は押さえておきましょう。 - 源泉徴収票の発行
会社は、2016(平成28)年1月以降に発行する源泉徴収票から、個人番号を記載して発行することになります。社会保険関係と同じく、今後届出様式が変更される予定です。給与所得の源泉徴収票については、本人の個人番号だけでなく、扶養親族の個人番号も記載が必要となります。
- 会社が届け出をする雇用保険や社会保険の事務手続き
マイナンバーは、その利用範囲が厳しく限定されるため、利用範囲を超えた利用、他人への提供が生じないよう、利用範囲に該当する会社の事務範囲を予め整理しておく必要があります。
- マイナンバーの利用は、法律、条例で定められた手続きだけ
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2015年5月14日
会社がマイナンバーを取得する際のポイント
マイナンバー制度が開始されると、会社は社員などから個人番号を取得し、源泉徴収票や社会保険等の申告書に個人番号を記載する必要があります。個人番号取得の際、会社に義務付けられているのが、「利用目的の明示」と「本人確認」の2点です。以下、この2点について詳しくご案内します。
- 利用目的の明示
会社は、個人番号取得の際に、その利用目的を本人に通知または公表しなくてはなりません。利用目的の通知等は、複数の目的をまとめて明示することができますが、その内容は「源泉徴収票作成事務」や「健康保険・厚生年金保険届出事務」など、具体的に特定する必要があります。
通知等は、社内LANによる通知や利用目的を記載した書類の提示、就業規則への明記等、個人情報取得時に従来行っている方法と同じ方法で実施可能です。
取得した個人番号は、たとえ本人が同意していても、利用目的を超えての利用はできません。ただし、利用目的を超えての利用が必要な場合で、その利用内容が、「当初の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲内」であれば、利用目的の変更が認められます。例えば、源泉徴収票作成事務で取得した個人番号を、同じく法律で利用が認めらている健康保険・厚生年金保険届出事務に利用する場合があります。
- 本人確認
会社は、個人番号取得の際に、その番号が正しいことの「番号確認」と、提供者が本人自身に間違いないことの「身元確認」をする必要があります。
確認は、今後配布される通知カードや、制度開始後に交付が受けられる個人番号カードなどを用いて、次のような方法で行います。- 個人番号カード(番号確認と身元確認)
- 通知カード(番号確認)
運転免許証やパスポートなど(身元確認) - 個人番号の記載された住民票の写しなど(番号確認)
運転免許証やパスポートなど(身元確認)
また、会社が扶養家族の個人番号を社員から取得する場合、社員を代理人として、本人確認が必要になるときがあります。
これは、各制度の中で、個人番号提供者が扶養家族本人である場合に、社員が番号提供をするときが該当します。その場合、社員は本来の提供者に代わり個人番号提供をしているため、会社は、身元確認を扶養家族本人に代わり、社員に対して行います。
代理人からの提供時の本人確認は、委任状などによる代理権の有無、社員の身元確認、そして扶養家族の番号確認の3つで行います。代理人提供の例として、国民年金の第3号被保険者の届出があります。
この届出は配偶者本人が個人番号提供者となるため、その提供を社員が行う場合は、代理人からの提供に該当します。
一方、年末調整で提出する扶養控除等申告書では、社員が、会社への扶養家族の個人番号提供者となるため、会社は、扶養家族の本人確認を実施する必要がなく、代理人からの提供に該当しません。会社は個人番号を取得する際には、「利用目的の明示」と「本人確認」の徹底が求められます。確実な実施に向けて、どのように進めるか、社内対応について早めに検討を進めていきましょう。
- 利用目的の明示
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2015年4月10日
会社に求められるマイナンバーへの対応
今回より、マイナンバー特集と題し10月の個人番号通知までに知っておきたいマイナンバー制度の詳細をご案内していきます。今回は、会社に求められるマイナンバーへの対応について、その全体像をご案内いたします。
【2016(平成28)年1月より開始されるマイナンバー制度】
http://www.romu.jp/cms_magazine/2015/02/474.htmlマイナンバー制度の開始以降、会社は社会保険等の手続きの際に、社員から収集した個人番号を、申請書に記載する必要があります。マイナンバー法では、会社が個人番号を適切に取り扱うために、その管理に対し、以下のルールの徹底を義務付けています。
- 個人番号取得時の利用目的明示と本人確認
- 個人番号の目的内利用
- 個人番号の安全な管理
以下、それぞれの概要についてご説明いたします。
1. 個人番号取得時の利用目的明示と本人確認
会社は社員から個人番号を取得する際、その利用目的を特定して明示する必要があります。また、他人の成りすまし等を防止するために、厳格な本人確認が求められます。本人確認は、提供される番号が正しいことの番号確認と、間違いなく本人からの提供であることの身元確認が必要です。2. 個人番号の目的内利用
マイナンバー法では、個人番号の利用は法律で定められた範囲に限定され、目的外の利用を禁じています。そのため、会社が個人番号の利用、提供、収集を行う際には、その取扱いは法定の目的内に限定されます。また、法律で限定された場合を除き、個人番号の保管は認められていなく、利用目的が終了し、法定保存期間を過ぎた個人番号については、速やかな廃棄が義務付けられています。3. 個人番号の安全な管理
会社は収集した個人番号の漏えい、滅失又は毀損の防止等のために、必要かつ適切な安全管理措置を講じなくてはなりません。安全管理措置として、情報管理における会社ルールの決定、ルールを適切に管理するための組織体制、従業員への教育、そして情報へのアクセス制御等を実施する必要があります。ルールの詳細については、来月以降順次お伝えしていきたいと思います。まずは、マイナンバーを意識し、準備に残された時間が限られていることを認識することが重要です。その上で、会社としてどのような体制を敷くか検討していきましょう。
10月まで残り半年となりますが、慌てずに、できるところからしっかりと前へ進めていくことが大切です。
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2015年3月10日
改正パートタイム労働法が4月1日より施行
「短時間労働者の公正な待遇の確保」及び「短時間労働者が納得して働くことができること」を目的とした、パートタイム労働法の改正が4月1日より施行されます。目的の達成に向けてどのような改正が行われるのか、以下具体的に内容を見てまいりましょう。
- 短時間労働者の公正な待遇の確保
この4月1日より、有期労働契約で働いている短時間労働者に対しても、職務内容と人事異動などの人材活用の仕組みが正社員と同一の場合、その待遇について正社員との差別的取扱いが禁止されます。従来は、上記要件に加えて無期の労働契約である短時間正社員に限り差別的取扱いが禁止されていましたが、その範囲が拡大されました。
さらに、全ての短時間労働者を対象にする、正社員と比べて待遇に違いを持たせる場合の原則が新たに設けられ、「職務内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して不合理だと認められるものであってはならない」と法律上明記されました。今後、事業主はこの原則を念頭において、短時間労働者の雇用管理の改善を図っていく必要があります。 - 短時間労働者の納得性を高めるための措置の拡充
事業主は短時間労働者を雇い入れる際、会社が実施する雇用管理の改善措置の内容を説明することが義務付けられました。雇用管理の改善措置とは賃金制度や教育訓練などが該当します。従来も、短時間労働者から求めがあった場合の説明義務はありますが、これからは事業主側から、短時間労働者が自分の待遇をより理解できるように説明をしていく必要があります。
あわせて、短時間労働者からの労働条件などに関する相談に応じるための体制整備が必要となり、相談窓口については雇い入れ時に文書で明示をしなければなりません。
これからは、短時間労働者がその持っている能力を充分に発揮できるよう、事業主による雇用管理の改善がますます求められることになります。施行まであとわずかとなりますが、自社の現状と課題を確認の上、対応策をしっかりと講じていきましょう。
- 短時間労働者の公正な待遇の確保
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2015年2月10日
2016(平成28)年1月より開始されるマイナンバー制度
来年の2016(平成28)年1月よりマイナンバー制度が開始されます。
「マイナンバーなんてまだまだ先」と考えている人もいると思いますが、開始に向けての準備に残された時間は限られてきています。今年の10月以降、市区町村から各人の個人番号が記載された通知カードが皆さんの手元に郵送されてきます。マイナンバー制度は個人情報保護法と異なり、全ての会社で対応が求められます。
制度開始時にしっかりと対応できるよう、先ずは「マイナンバーとは何か」制度概要について理解をしておきましょう。マイナンバー制度のポイントを簡単にまとめると以下の3点となります。
- 住民票を有する全ての人に対し、唯一無二の個人番号を付番する。
- 複数の行政機関が管理する個人情報を連携させ、同一人の情報であることを確認する。
- 社会保障・税・災害対策の3分野において利用される
以下、ひとつずつ見ていきましょう。
1.赤ちゃんからお年寄り、外国人を問わず、2015(平成27)年10月の時点で住民票を有している者全員に対し、12桁の個人番号が市区町村より付番されます。個人番号は住民票を基に付番されるため、日本人でも住民票を有していない者に対しては付番されません。付番された個人番号は、2015(平成27)年10月以降、各人の住民票住所へ個人番号を記載した通知カードの送付により通知されます。
その後、制度開始の2016(平成28)年1月以降、市区町村に申請することで、個人番号カードの交付を受けることができます。この個人番号カードは、通知カードの情報に顔写真が追加され、身分証明書としても利用可能となります。2.個人番号は、複数の行政機関に存在している個人の情報を連携させ、同一人の情報であることを確認するために活用されます。例えば、年金事務所に存在している甲さんの年金情報と、市区町村に存在している甲さん地方税情報が、同じ甲さんの情報であることを確認するために利用されます。
3.個人番号はプライバシー性の高い情報のため、法律や自治体の条例により使用分野が明確に定められ、自由な使用を禁じています。個人番号の使用は社会保障・税・災害対策の3分野に限定されおり、それ以外の目的に使用すると厳しい罰則が課されます。
具体的な使用例としては、社員の入退社等で発生する社会保険手続き、給与を支払う際の所得税の源泉徴収事務などが該当してきます。制度開始以降、会社は社会保険の手続きや源泉徴収票発行の際に、社員の個人番号を記載する必要があります。
マイナンバー制度の開始に向けて、会社は情報管理の体制や業務フローの見直しが必要になります。今後各省庁から発表される最新情報を確認し、制度開始までにしっかりとした体制を構築していきましょう。
アクタスでは、今後もマイナンバーの最新情報を皆様にお届けします。
また、皆様のマイナンバー制度の体制構築を支援する、様々なサービスを予定しています。マイナンバー導入準備でお困りの会社様はお気軽にお声掛けください。 -
2015年1月9日
2015年4月より障害者雇用納付金制度の対象事業主が拡大
障害者の職業の安定を目指す障害者雇用促進法では、障害者の雇用に伴う事業主間の経済的負担の調整を図るとともに、社会全体として障害者の雇用水準の引き上げを目的とする障害者雇用納付金制度を設けています。
現在、常時雇用する労働者の人数が50人以上の民間企業では、障害者を1名以上雇用することが法定雇用率として義務付けられています。障害者雇用納付金制度では、障害者の雇用人数が法定雇用率に満たない事業主から納付金を徴収し、法定雇用率を超えて障害者を雇用している事業主に対して調整金、報奨金、各種の助成金の支給を行っています。
この障害者雇用納付金制度の対象範囲が、2015(平成27)年4月より、労働者数200人を超える事業主から100人を超える事業主に拡大されます。
労働者数が100人を超える事業主は、2016(平成28)年4月から、前年度(2015(平成27)年4月から2016(平成28)年3月まで)の雇用障害者数をもとに、障害者雇用納付金の申告が必要となります。
そして、申告時に法定雇用率を満たしていない事業主については、併せて納付金として、不足人数1人につき月額5万円(ただし、労働者数が100人を超え200人以下の事業主は、2015(平成27)年4月1日から2020(平成32)年3月31日までは月4万円)を納付することが必要となります。障害者の雇用は、作業施設や設備の改善、特別な雇用管理の必要など、障害のない人の雇用と比べて難しい部分があり、対応が未着手の事業主もまだまだ多いと思います。その一方で、近年障害者雇用の社会的必要性は大きくなってきていますので、今回の制度改定を、社内で障害者雇用への対応を検討する機会としていただければと思います。
人事労務